史上最強の統率者、テムジン。
彼こそは、陰謀と画策が渦巻く時代にモンゴル大帝国を築いた男、チンギス・ハーンである。
一人の少年が、過酷な運命と闘いながら史上最大の帝国の統率者へとなりゆく一大叙事詩を描いた映画『モンゴル』の初日舞台挨拶が、5日に行われた。

本作は、総制作費50億円、ドイツ・ロシア・カザフスタン・モンゴルの4ヵ国合作の一大プロジェクト。
『コーカサスの虜』でカンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞および観客賞を受賞したロシアのセルゲイ・ボドロフ監督は、この映画の為に丹念なリサーチを重ね、全編モンゴル語で製作。
テムジン役を演じ、本年度のアカデミー外国語映画賞にノミネートされた主演の浅野忠信が登壇し、日本初日公開の喜びや撮影での苦労などを語った。
最初、監督はオーディションで主演のテムジン役がなかなか決まらず悩んでいたところ、最後になり浅野が現れて“テムジンがやってきた、喋らなくても風格がある”と思い彼に決めたという。
続編も製作したいという監督に対し、浅野も是非また出演したいとコメントした。
さらに、浅野忠信には“奇跡のテントウ虫”と呼ばれる不思議なエピソードが。
以前、主演俳優として03年のベネチア国際映画祭に出展した際に、インタビュー中に手にテントウ虫がとまり、その年の主演男優賞を受賞。本作品でも、撮影中に手にテントウ虫がとまり、アカデミー賞外国語映画賞ノミネートに至ったという。
そんなテントウ虫との幸運な縁にあやかって、テントウ虫の絵を持つ観客と共に写真撮影が行われ、「もう撮影も海外上映も済んでいますが、やっと日本で公開できてこの映画が始まったという感じです。日本の皆さんにも観て欲しいので、よろしくお願いします。」と述べ、初日舞台挨拶は終了した。

——全編モンゴル語の撮影という事ですが、大変だったのでは?

「ボロボロになる覚悟で行ったので、気持ちの上では安定していました。後はどうのし上がっていくかという取り組み方でしたね。
足掛け2年がかりぐらいの撮影で、途中1年ほど間が空いたので台本を一冊覚えたのですが撮影一週間前に全部変更になりまして、びっくりしました。もう一回またモンゴル語の台本を練習して覚えなおして、それはなかなか経験できないし、よくやったなと思います(笑)」

——その苦労を支えてくれたのは何だったのでしょうか?

「やはり自分の家族も含めて、映画のスタッフなどの沢山の方々ですね。」

——監督は、“是非続編も作りたい”と言っていますが?

「その時には是非出演したいですね。また全編モンゴル語でも大丈夫なので、覚悟して挑みたいです。」

——テムジンを演じて、自分の中で変わった事は?

「最後まで諦めずにいい映画を作ろうとする事ですね。実際のテムジンも、明確な目標を最初から頭の中に持っていて最後まで諦めないという人だったので、物事を諦めないというのは簡単に見えるかもしれませんが一番大事だと思いました。」

(池田祐里枝)