『雨あがる』『博士の愛した数式』で世界中に優しさと感動を届けた小泉堯史監督が構想約15年、満を持して映画化した藤田まこと主演『明日への遺言』が3月1日(土)に初日を迎え、監督・出演者が舞台あいさつを行った。

原作は文学界の巨匠・大岡昇平の「ながい旅」(角川文庫刊)。それにちなんで、小泉監督が「僕にとっても“ながい旅”でした。でも今日は、こんなにもたくさんの人たちが来てくれたので、ホッとしています」とコメント。

本作で戦犯裁判にかけられた実在の人物・東海軍司令官の<岡田資中将>を演じた主演の藤田は、「生まれて初めてこのような大きな役をいただきましたが、“こんな未熟者でも演じきることができるだろうか?”と、半年ちかく出演を悩んだんです。しかし、“俺に任せておけ!”という監督の一言で心を決めました。まだまだ未熟者ですが、一人でも多くの人たちに観ていただければと思っています」と、出演に至るまでの心境を謙虚に語った。

<岡田資>の妻を演じた富司純子も「こんなにすてきな作品に参加できたことを誇りに思います」と本作に対する自信のほどをうかがわせ、長男<陽(あきら)>を演じ、黒澤明を祖父に持つ加藤隆之は、「僕はこの<岡田陽>という役に運命的なものを感じたんですよね。祖父が“黒澤明”だから、名前つながりで監督に呼んでいただけたのかな?と思ったんですが(笑)、なんと<陽>も祖父も僕もみんな身長が同じだったんです。そういうのもあって、勝手に信じた運命に身を任せてよかったなと思いますね」とおもしろいエピソードを語った。

そして、初日公開祝いのために本編中で藤田演じる<資>の孫<博子>役を演じた斎藤文ちゃんも登壇。偶然にもこの日は、製作から8ヶ月ぶりの再会となる文ちゃんの満1歳のお誕生日でもあったため、藤田からアクアマリンペンダントのプレゼントが。
とてもおとなしい文ちゃんに、「撮影中もとても静かな赤ちゃんで感心したんです」と藤田もにっこり。

その後、富司と藤田が交互に文ちゃんを抱きかかえ劇中での“岡田ファミリー”が勢ぞろい。その際、藤田が「監督とはまた2作目がやりたいです。今度は時代劇がいいですね。『必殺』シリーズはもう卒業しました(苦笑)」と会場の笑いを誘い、本作プロモーションで鹿児島から札幌まで総移動距離役8000kmに及ぶ全国キャンペーンを終えた今、万感な想いで深々と一礼し、会場を後にした。

(Report:Naomi Kanno)