第44回小学館文学賞、第13回新美南吉文学賞受賞、第28回児童文学者協会新人賞受賞など、文芸界の賞を独占した梨木香歩の話題の小説「西の魔女が死んだ」が、待望の映画化を果たした。

2月26日(火)、有楽町朝日ホールで行われた完成披露試写会には<西の魔女=おばあちゃん>を演じたサチ・パーカーと、新人・高橋真悠をはじめ、木村祐一、高橋克実、監督の長崎俊一、主題歌「虹」を歌う手嶌葵が登壇し、多くの拍手で迎えられた。

大女優シャーリー・マクレーンの愛娘で、本作が日本映画デビューとなったハリウッド女優サチ・パーカーは「私は2〜12歳まで代々木上原というところに住んでいたので、日本には思い出がいっぱいあります。まさに、ふるさとですね。でも日本の映画に出演できるなんて思っていなかったですね……」と感極まった様子で話し、「お願いします」と付けくわえた。

「これは私にとって初めての映画で、もちろん演技も初めて。私のお芝居はまだまだですが、とてもすてきな作品なのでハンカチを用意して観てください」と、テレながらもハキハキ答えたのは、半年にも及ぶオーディションの中から<おばあちゃん>とひと夏を過ごし、魔女修行から多くを学ぶことになる<まい>役に選ばれた13歳の期待の新星・高橋真悠。些細なことで傷ついてしまう、ピュアで繊細な心を持った少女を凛とした表情で演じきった。

そんなふたりは本作を通じて大の仲良しになったそうで、「真悠は私のすばらしい友になりました。だから撮影が終わってアメリカに帰った時は、寂しくて泣いてしまいました。それくらい大好き」とサチ・パーカーが高橋の肩を軽く抱き寄せるなど、ほほ笑ましい光景も。

また、「母(シャーリー・マクレーン)も日本で撮影したことがありますが、もしかしたら私がこの映画に出演することも昔から決まっていたのかもしれませんね」と魔女めいた発言(本作で<魔女=おばあちゃん>は未来を予知できるということを言っている)をし、「母には早速見せたいです。喜んでくれるんじゃないでしょうか?」と自信満々に答えた。

気のいい<郵便屋さん>役の高橋克実、<まい>の気持ちをいつも逆撫でし、心をかき乱す<ゲンジ>役の木村はそれぞれ「試写を観て、こんな私でもこんなにきれいな涙が出るんだというくらい泣いてしまいました。あと、今日久々にサチ・パーカーさんにお会いしたら、長靴を履いていた現場のときとは全く違っていて驚きました。ビューティフォー!!」(高橋)、「僕も泣かせてもらった作品。本当に心に残るような作品で、自信作ですね!」(木村)とにっこり。監督も「少女<まい>と一緒に、<おばあちゃん>の家へ行くつもりで観てほしい」と笑顔で語った。

私たちは<まい>と共に<おばあちゃん>から魔女修行の手ほどきを受け、改めて愛に包まれる喜びを知る。そして、切なくもあたたかい気持ちになるラストの展開……。
ハンカチなしでは観られない、感動の愛の物語が誕生した。

(Report:Naomi Kanno)