広島を舞台に時間を超えた運命の愛を描く映画『恋する彼女、西へ。』が9日に公開、出演者の鶴田真由、池内博之、小林桂樹が舞台あいさつを行なった。
原爆が投下される直前の広島からタイムスリップしてきた青年軍人と、現代OLの60年の時を超えた純愛がロマンチックにつづられている本作は、地元広島で昨年の11月に先行公開され大絶賛。本日、いよいよ東京での公開を迎えたわけだが、撮影を振り返って今の気持ちをそれぞれこう語った。

鶴田:脚本をいただく前に、“60年前からタイムスリップしてきた青年と恋に落ちる”という簡単なあらすじを聞いて、安っぽいSF映画になってしまうんじゃないかと心配でしたが、脚本を読んだらすばらしくて涙を流してしまいました。すてきな脚本に出会えてうれしく思っています。

池内:広島でも評判が良く、追加上映してくれるということで楽しみです。今回は広島からタイムスリップしてきた青年軍人という役で、見るものすべて新鮮というかカルチャーショックを受けたというか…・。重い題材も含まれていますが、明るい前向きな話ですし、ロマンティックなラブストーリーになっているので、脚本をいただいてから撮影に入るまで楽しみでした。一番楽しみだったのは、海でのラブシーンです。

小林:私は戦時中に仲間をたくさん失ったので感慨無量です。でも、広島で仕事ができるというのは緊張感もあってぜひがんばりたいと思いました。

<広島でのエピソード>

池内:広島は初めてだったのでいろいろ考えさせられることもあったし、鶴田さんに恋しなきゃいけないし、とてもむずかしかったです。あと、鉄板焼き屋に連れて行っていただいて、初日にはみんなでお好み焼きを食べたりしました。

鶴田:撮影中も結構お好み焼き食べるシーンがあって、終わってからもお好み焼きを食べたり、昼休憩もお好み焼きを食べたりしていましたね(笑)

小林:ちょっとまた悲しい話になりますが、移動演劇隊というのが戦争中にありまして、こちらで丸山定夫さん、その劇団の方がたくさん亡くなっています。私の友達や知っている女優さんも亡くなっているので、いつもここへ来ると複雑な気持ちになります。

<印象に残っているシーン>

鶴田:広島のゴミ処理場で二人がデートするシーンがあったんですが、現代美術館のようなきれいな場所でとても印象に残っています。ゴミ処理場がデートスポットになり得るんだと思いました。

池内:いいシーンはたくさんありましたが、やっぱりラブシーンを撮った海ですね(笑)

<最後に一言>
鶴田:脚本家の田渕さんが原爆ドームの見えるホテルに泊まられていたとき、まるで神様が降りてきたようにこの物語を書き上げたということをうかがって、「この脚本を書き終えたときものすごく体が軽くなった。広島で亡くなった方の鎮魂になったんじゃないかな?この映画はそういうものにしたいので、あとはあなたたちが形にしてください」とバトンタッチされたことをとてもよく覚えています。その田渕さんの思いをずっと感じながら撮影に挑んで、本日東京でも公開となりました。この映画は本当に小さなところから始まって、口コミで広がっていくタイプの映画なので、今日少しでもおもしろいと思っていただけた方は、ご家族やお友達に広めてください。

池内:僕もこの映画はどんどん口コミで広めていって、一人でも多くの方に観ていただきたいと思っています。ロマンチックなラブストーリーなので、現実逃避したい方などにおすすめです!(笑)

小林:みなさんに観ていただけるよう願っております。