ドイツ・ロシア・カザフスタン・モンゴル合作映画『モンゴル』が第80回米アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、急遽日本での公開が決定した。あまりに緊急な決定、とのことでまだ日本版予告も完成していないという慌ただしい中、日本公開決定記者会見が行われた。
50憶円の製作費で制作された本作は、なんと全編モンゴル語。主演の浅野忠信さんは、初めての挑戦がたくさんあった本作の日本公開がなかなか決まらず寂しかったのだそう。アカデミー賞ノミネートをきっかけに日本でも公開できるのが嬉しく、できるだけ多くの人に観てほしいと語った。
ちなみにこの『モンゴル』、既にロシアやウクライナで劇場公開され初登場2位という記録を達成。日本では4月5日に公開、全国200館での上映を予定している。

Q:アカデミー賞ノミネートを聞いてどう思いました?
浅野:「自分でも想像してなかったのでビックリしましたし、嬉しかったですね。日本映画のスタッフにもファンの方にも、『モンゴル』いつ観れるのって聞かれてて。やっと胸をはって答えられるのが嬉しいです。ただ、アカデミー賞の受賞式に出席できるかどうかはまだわからなくて。調節がうまくいけば是非行きたいと思ってます。」

Q:全編モンゴル語ですね。どうやって習得したんですか?
浅野:「モンゴル人の先生についてもらっていました。セリフをCDRに焼いてもらって、ずっと聞いて暗記してましたね。ただ、撮影に入る1週間くらい前にセリフが全部変わっちゃって。あれは大変でした(笑)。やっぱりモンゴル語は発音が難しくて、モンゴル人の友達には「お前のモンゴル語はめちゃくちゃだなー」と言われてます(笑)。アクションのトレーニングの時は特に通訳が自分に届かないと危険で。ずっと細かい傷が堪絶えませんでした」

Q:奥様(Charaさん)の反応は?
浅野:「ずっとみていてくれていたので、喜んでくれていますね。レッドカーペットも歩ければ一緒に、と思っています」

Q:オスカーをとる自信は?
浅野:「変な話なんですが、ベニス映画祭で主演男優賞をもらったことがあって。その時の話なんですが、取材を受けていた時にテントウ虫が手にとまったんです。で、それを見た人たちが「お前絶対いいことあるぞ」って言ってくれて。そしたら主演男優賞を受賞できたんですよ。それで今回の話に戻りますが、『モンゴル』の乗馬の撮影の時にも手にテントウ虫がとまったんです!もしかしたらいけるかもしれないですね(笑)」

Q:もし吹き替えで公開されるならご自身でされたいとおっしゃっていましたが…。
浅野:「僕以外で僕以上にこの作品を理解している人はいないと思ってます。なので日本語吹き替えで公開されるなら自分でやりたいですね」

Q:この作品に出演する際、オーディションを受けたそうですね。そのきっかけは?
浅野:「この作品の企画を聞いておもしろいと思ったんです。監督はロシア人で、モンゴル人がいないところでチンギス・ハーンの物語を撮ろうっていうんですから、これはすごい、と。それで興味が湧いてオーディションを受けたら監督と意気投合しました。」

Q:浅野さんにとってアカデミー賞とはどういったものなんでしょうか。
浅野:「僕の祖父はアメリカ人なんです。祖父に会ったことはないのですが、アメリカには深い関わりがあると思ってきましたし、アメリカ人と映画を作ってみたいとも思ってきました。なのでアカデミー賞ノミネートで少しでも注目してもらえれば嬉しいですね。個人的に祖父にお祈りしたり、感謝したりしています。」

Q:浅野さんが演じたチンギス・ハーンはどんな人間なんですか?
浅野:「力強くて、信じたものに対して真っ直ぐな人間です。最初はチンギス・ハーンは恐ろしい人だというイメージがあったんですけど、そうじゃなくてあったかくて仲間の為なら何でも捧げられる人でした。」

Q:これをきっかけに海外進出を前向きに考えていますか?
浅野:「きっかけばあればもちろん。でも僕は絶対的に日本映画をやっていきたいと思っています。海外で経験したことを日本映画に活かしたいんですよ。僕が日本映画にできることがあれば、もちろんやりたいですね。」

「撮影では過酷な状況を頑張って乗り越えた作品です。諦めることなく信じる道を生きた男チンギス・ハーンを通して、そういうところに通じるものを受け取ってほしいですね」と語った浅野さん。
注目のアカデミー賞発表は日本時間で2月25日発表です。
世界各国の映画人が結集して生まれた『モンゴル』、見逃せない!
(Report:Tomoko Umemoto)