蒼井優の新たな挑戦とも言うべき『蒼井優×4つの嘘 カムフラージュ』の記者会見が代官山HILLSIDE PLAZAで行われた。WOWOWで1月30日深夜0:00スタートのこの映像作品はCMプランナーの高崎卓馬、放送作家の高須光聖、映画監督の山下敦弘、タナダユキが蒼井優を主演に迎えて「嘘」をテーマに撮影したもの。4つの物語(各全3話)で構成されたこの作品は、それぞれ「エチュード」「ドラマ」「舞台」「朗読」といったいろいろな表現形態で語られ、毎週1話ずつ放送される。つまり映画好きにもCM好きにも、もちろん蒼井優のファンにとっても楽しめるものなのだ。

第1章は高崎卓馬の『人生って嘘みたい』。
「1番初めに「嘘」というテーマを聞いて浮かんだのは、「嘘みたい」っていうセリフだったんです。それを拡げて作品を作ってみたんですよ。」と語った高崎氏はJRAのキャンペーンやナツイチのCMで蒼井優と仕事をした経験を持つCMクリエイターで、映画版『ハチミツとクローバー』の高田雅博監督と共に今回の作品を手掛けた。
高崎:「今回はいつも作っている15秒作品(CM)とは全く違うものなので、初心者のつもりで作りました。普段できないことをやろうと思ってましたね。僕が作った蒼井さんのCMは、会話がなくって。だからダイヤログをふんだんに使った作品にしようと思ったんです。蒼井さんの声がすごく好きなので、自分で作っていて幸せでした(笑)。無意識に書いたセリフでも、蒼井さんに演じてもらうことで目の前で生きてくる瞬間を見ることができて楽しかったし、とても幸せな仕事だなと思いましたね。」
蒼井:「高崎さんと高須さんの作品がとても好きなので、その世界に自分が入れてるってことがすごく幸せでした。今回はセリフがとても多い作品だったので、いつも以上に作品世界を壊さないように気をつけました。」
(ちなみにこの第1章は、キャストに加瀬亮や温水洋一などを迎えた豪華な作品となっていて見どころ満載!)

第二章は高須光聖の『バライロノヒビ』。
主にTVのバラエティ作品を手掛けてきた高須氏は、「「嘘」っていうテーマを聞いて、妄想みたいなことを嘘につなげてしまおうと思いました。自分に求められていることと、あとは他とは違うことをやりたいって考えて作ったんですよ。」と語る。
高須:「とりあえず、女優さんやから傷をつけたらあかんっていう責任感がありました(笑)。でも蒼井さんと話してみたら、なんか現場が辛かったみたいで(笑)。半分くらいは走ってる、っていう状態やったからですよね。」
蒼井:「最初の3日はセリフなしで、ただただ走るだけだったんですよ。なんか悲しくなってきちゃって(笑)。私のこと嫌いなのかなって考え始めたり(笑)。でもきっとこの作品は記憶に残る作品になるんじゃないかなって思いながらやってました。」

第3章は山下敦弘の『アカバネ三姉妹』。
『リアリズムの宿』(04)や『リンダ リンダ リンダ』(05)、そして最近では『天然コケッコー』などの作品で若者に圧倒的に支持されている山下監督。今回は普段の山下組ではやらない手法で作品を撮ったのだそう。「いつもは極力リアルに描こうとするんですけど、今回は全て「嘘」の世界でやろうと思ったので全編通して1つのセットで撮影しました。セット自体使うのが初めてだったんですよ。蒼井さんにはアカバネ姉妹の末っ子を演じてもらっていて、今2話目の撮影中なんですが、僕が見たいと思って撮っていたものに近づいてきました。」
蒼井:「山下監督の現場は、若干、舞台っぽいんです。セットも舞台みたいで。今まで山下組がやってきたこととも、自分がやってきたこととも違うことをやっているなと感じています。オーバーリアクションとかもやってみたりなんかして。毎日模索しながら、撮影してます。」
山下:「今までリアルさを求めてやってきたけど、リアルだからっておもしろいわけじゃないんですよね。蒼井さんに大きな芝居をやってもらった時、嘘の中に愛おしく思える瞬間があって。すごく好きな作品になる手ごたえを感じています。」

第4章はタナダユキの『都民・鈴子−百万円と苦虫女 序章−』。
『タカダワタル的』(04)を始め、昨年公開された『さくらん』(08)など数々の話題作を世に送り出してきたタナダユキ。今回は今年7月に公開予定の蒼井優主演の『百万円と苦虫女』の序章を描く。映画の主人公・鈴子の約1年前、短大生の鈴子が本作の主人公だ。「かわいい嘘とか優しい嘘とか、そうタイプのは無理だと思ったので、できるだけ心が冷える嘘にしようと思いました。鈴子は悪いことをしていないのに少しずつ周りで嫌なことが起こるタイプの人間。映画とは違う部分でやってみたかったことをやりました。」
蒼井:「1度演じたことがある役をもう1度演じるということが、たぶん初めてです。鈴子を自分の中から再び引っ張ってくるというのがどういう作業なのかまだわからないです。でもタナダさんとまたお仕事ができて嬉しいですね。」

蒼井優は「真実でない=「嘘」、なら芝居も「嘘」の中に入ってきますよね。だから私の生活の中で真実と嘘、どちらの割合が大きいのかなって考えましたね。」と語る。「嘘と言えば中学の頃、どうしても学校に行行きたくない日があって。「蒼井優の母ですが、」って学校に電話したんです。でも次の日学校に行ったら全然バレてました(笑)」とエピソードも明かしてくれた。
「でも「嘘」をテーマにしてここまで広がるんだなぁって、すごくおもしろいと思いました。”胃もたれするぐらい蒼井優”な作品ですが(笑)、正直本当におもしろいものができると感じています。みんなで冒険している感じなんですよ。純粋に楽しんでもらえたら嬉しいですね。」

1月30日、WOWOWで蒼井優のフルコースをお腹いっぱい召し上がれ!

(Report:Tomoko Umemoto)