1962年に公開された黒澤明監督と俳優・三船敏郎コンビの不朽の名作『椿三十郎』が、新たにリメイクされてスクリーンに帰ってくる。今回メガホンをとったのは、『家族ゲーム』『ときめきに死す』などの代表作があり、近年では『海猫』、『間宮兄弟』などヒット作品を手がけてきた森田芳光監督。また三船敏郎が演じ、日本映画史上最も愛されたヒーローといえる椿三十郎を演じるのは、今年でデビュー20周年を迎えた織田裕二だ。オリジナルで仲代達也が演じたは三十郎のライバル・室戸半兵衛に豊川悦司、かつて加山雄三が演じた若侍・井坂伊織役に松山ケンイチなど、若手から中堅まで日本を代表する俳優たちの競演も話題となっている。
12月1日の公開に先駆けて行われた記者会見には、森田監督をはじめ織田裕二、豊川悦司、松山ケンイチ、中村玉緒、鈴木杏、製作総指揮の角川春樹が登壇し、作品についてみな熱い思いを語った。

三十郎を演じるにあたって織田は、「男からみても三船さんはかっこいい。自分がそれをやるんだ、っていうことを意識して観ていても、45年前の作品だって全く思えないんですよね。使われているセリフの言葉やテーマ、いじめや汚職などむしろ「今」を描いているように感じました。」と語る。
また織田、豊川のライバル対決に加え、若手№1の松山の3人の競演も話題となっている。それぞれの俳優としての存在について織田は「室戸役を演じた仲代達也さんは当時大抜擢されてこの役を演じているんです。そういう意味では今の僕と豊川さんと、三船さんと仲代さんの関係性は違っていますよね。室戸と戦わなければならない間柄だけれどもお互いを認め合っていて、勝ち負けで終わらない、礼儀をもっている。豊川さんのおかげで作れたものがあると思います。
また、松山くんは色んな引き出しがあってこれからの可能性も十分ある役者さんだなと思います。」と語る。
対して豊川は、「役者としてのキャリアは織田さんの方が全然長いんです。僕が役者として芝居を始める前から織田さんは「湘南爆走族」などでスターでしたから、現場には興味と期待をもっていましたね。ふところが広くって、度量がある方でまさにスター俳優といったタイプ。
松山くんとは共演シーンはなかったんですが、このあと『サウスバウンド』の撮影でたっぷりと絡みました。どんどん追い抜かれいくなあって思いました(笑)。」と笑わせる。
また松山は、「豊川さんにはずっとビビっていて話せなかったんですが、『サウスバウンド』の時はけっこうお話しました。無口だけどひと言ひと言が面白いんです。僕も見習います!
織田さんには緊張しました。でも現場で常に僕らを見てくれていて、緊張しないように気にかけてくださって、そういう空気を作り出してくれました。とても感謝しています。」といいながら「でも織田さんは、世界陸上の司会をされてたとき、すごく興奮されてて無邪気な様子で・・・あんな風に無邪気になれる織田さんって素晴らしいなって思いました」と松山が笑顔で語ると、「それって褒めてるの?それともけなされてるのかな?」と微妙な表情の織田の切り替えしに会場が爆笑した。それぞれが共演を楽しんだ様子がうかがえる。
オリジナル、本作ともに見所のひとつでもある21人斬りのシーンについて森田監督は、「ただの殺陣じゃなく、サッカーのようにプロセスを見せています。三十郎がどうやって相手に挑み、何人目で疲れてきて、いつ刀が血糊で切れづらくなってきて、…そういう部分を殺陣で見せていきたかったので、三船さんのオリジナルよりもシーンが長いんです。」と監督ならではのこだわりをみせ、作品の仕上がりに満足がゆくものに出来上がったと自ら太鼓判を押した。