11月23日(金)から25日(日)に開催の、東京国際シネシティ フェスティバル 2007は、<シネシティ歌舞伎町>を舞台にした映画祭。
以前から、前身となる東京国際ファンタスティック映画祭でインドのマサラムービー、韓流、タイとアジアなどの映画の魅力を次々と発掘し続けており、今回の目玉は「フィリピン」となっている。
24日(土)にインターナショナル・プレミアとして上映された映画『シャシャ・ザトゥーナ』は、エキセントトリックなキャラクターが魅力の、カラフルなレズ&ゲイSFミュージカル!
ゲイである主人公のアダは、ある日空から落下してきた奇妙な石を飲み込み、美貌のヒロイン「シャシャ・ザトゥーナ」に変身!巨大ガエルやゾンビ、フェミーナ女王率いるX星人と戦い、町はおろか地球の危機を救うというカルロ・ベルガラによるカルト的クラシック漫画小説の登場人物をモデルにしたスーパーヒロイン(!?)もの。
冒頭から引き込まれる事間違いなしのハチャメチャな展開、フィリピンの活気溢れる町の雰囲気。そしてやっぱり一番の見所はアダの美しさと、シャシャザトゥーナの活躍ぶりであろう。キュートで親しみやすいミュージカル・ナンバーにのせて描かれる魅惑の世界!

来日は果たせなかったがジョエル・ラマンガン監督からの「フィリピン映画は、リアリズム、ゲイ、民間伝承などが描かれる事が特徴です。70年代には社会政治的なものを描く事が多かったのですが、現代は大衆文化として、現実逃避の形として様々なものが作られています。私は俳優の演技こそが映画をつくると思っていて、役者が映像としてイメージして理解できるようにと心がけました。新しいタイプの映画と出会いたければ、『シャシャ・ザトゥーナ』を観て下さい。」というメッセージが紹介された。
また、上映前に、特別ゲストとして大場渉太と脚本家・監督の中野貴雄(『怪奇大作戦』『シルバー仮面』)が登場。
大場は「ハリウッドや日本は技術面では勝っているかもしれないが、絶対に想像できないような事をやっていて、これは限界を超えています!ちょっとヒゲが濃いけどアダは魅力的なヒロイン。」と映画の魅力をアピール。
中野は「フィリピン映画では、昔からスーパーヒロインものというのはずっとあって、これはジェンダーや社会の問題も取り入れて、舞台にもなったりしています。実はこの映画に登場する適役には、フィリピンでは有名な女優さんの名前がつけられているんです。『ロッキー・ホラー・ショー』みたいに皆で盛り上がって欲しいですね。」とマニアックなネタを披露。
近況報告として、「現在、日活に戻って来年3月には撮影が開始する『ヤッターマン』に関わっています。三池監督とも、そのままやろうという事で『キャシャーン』にはしないぞ、と言っています。」と語った大場に対し、中村は「“ポチっとな”を日本の凄い人に、例えば山崎努さんなんかにやってもらったりして。」と返し、さらに大場は「ドロンジョ役はもうアンジェリーナ・ジョリーにオファーして断られています。」としてトークは盛り上がりを見せた。

『シャシャ・ザトゥーナ』は現在のフィリピン映画の勢いを見せてくれる一本。
まだまだ未知の可能性を秘めており、一度観たら濃厚な世界に虜になるかも!?

(池田祐里枝)