長い間、多くの謎に包まれてきた世界的名画『夜警』の謎に迫る映画『レンブラントの夜警』公開に先駆け、美術作家でもあるピーター・グリーナウェイ監督が10年ぶりに来日し、10月30日に記者会見を行った。

西洋文化におけるレンブラントの重要性について、グリーナウェイ監督は「ルネッサンス以降、フランス、イタリア、オランダで画家が活躍する中、最も活躍したのがレンブラントです。その時代に理解されるファッション性を持ち、フェミニストとしての一面や、ポストフロイトとして、物体の意味がない作品が多い中、そこに感情ももたらしました。また、ポストモダニストの側面を持ち、感情があるが距離を置き裁くような見方をしなかった。そして、ものすごくうまい画家であり、後期印象派画家たちに影響を与えました。個人的に彼は世界で初の映画監督であるといえます。もし光の魔術師である彼が今生きていたら、ハイビジョンで撮ると信じられます。」
「目」に注目しながら作ったというこの作品について、「私は実際に画家の教養を受けています。冒頭で私は、画家と監督の比較を説明し、枠の中で、見つめる目や、ストーリー、いろんなセリフを通して見ることをメインにしています。」
レンブラント役のピーター・フリーマンの起用について、「1642年、レンブラントは36歳で俳優と同じ年齢で、汚い上着を着て、怒鳴ったり、スケベだったりという人となりを素直に表現できる。キャリアを積み、かしこいがインテリでもなく、やばい事をしているけど憎めず受け入れるイメージがピッタリと思った。」と答えた。

「映画は死に絶えつつある媒体、次のオーディオビジュアルは素晴らしいので、そこを目指したい」と語るグリーナウェイ監督は、セカンドライフでインタラクティヴの映像を作る予定があることを発表。「あらゆるところで色んなことをしたい。」と、新しいマルチメディアの分野での活躍を期待させてくれた。

(Report:Miwako NIBE)