10月27日、映画祭最終日を特別招待作品『明日への遺言』がワールドプレミアを兼ねて一般にお披露目された。
映画上映終了後に舞台挨拶が行われ、小泉堯史監督、出演の藤田まこと、富司純子、アメリカからロバート・レッサー、フレッド・マックイーン、リチャード・ニールが登壇。
作品は、小泉監督が黒澤明監督の助監督時代の15年前に構想した企画。監督は「原作が『ながい旅』というタイトルですが、僕にとっても長い旅でした。テレビなどの応援団の少ない映画ですが、いい所を見つけて『良かったよ』とひとりでも多くの人に伝えてほしいです。」と挨拶。主演の藤田まことさんは「今までいろんな役を演じてきました。そのたびに色々な監督から“レッドカード”をもらい、その数が先日の映画祭オープニングのレッドカーペットの長さになりました」とコメント。
藤田さん演じる岡田中将の妻を演じた富司純子さんは「黒澤明さんの素晴らしいスタッフ、そして素晴らしいキャストの映画に参加させていただきました」と語り。
スティーヴ・マックイーンの息子で本作では軍人でバーネット検事役のフレッド・マックイーンさんは「監督、藤田さん、富司さんの3人は国宝とも言える」と称え、フェザーストン弁護士役のロバート・レッサーさんは「素晴らしいチームに囲まれて、私の俳優生活の中の頂点と言える」とラップ裁判長役のリチャード・ニールさんは「貴重な経験をした」と語った。
また、特別ゲストとして岡田中将の実の息子・岡田陽さん夫妻が本編では夫妻役を演じる黒澤明さんの孫の俳優の加藤隆之さんに手を引かれて登壇。岡田さんは「映画は今回で2度目で、60年も前の出来事で現在、この夫婦と映画の中に登場する赤ん坊だけで、彼女もいまやおばあちゃんです。その子供が海外にいたりと・・・。60年前、父が獄中で裁判を受けているにも関わらず結婚を決めてしまい不謹慎だと思いますが、その後も別れることなく一緒にいます。」と感動をコメントした。
公開は、来年3月1日。

(Report:Yasuhiro Togawa)