コンペティション出品作品「ガンジー、わが父」のゲストによる公開記者会見が行なわれました。

● 日時: 10月24日(水) 14:15〜
● 場所: TIFF Movie Cafe (六本木ヒルズ ヒルサイド2F ヒルズカフェ)
● 登壇者: フェロス・アッバース・カーン監督
インドを代表する舞台演出家で俳優でもあるフェロス監督。インド演劇の新しい形を探究するだけでなく、ヒンディー演劇を主流なものにしたことでも注目されています。今回、東京国際映画祭のコンペティション部門に選ばれた初監督作品『ガンジー、わが父』のフェロス監督がムービーカフェに登場。「東京はホームのようで落ち着く」と語る監督は、リラックスした様子で公開記者会見に臨みました。

質問:「この映画はどの程度事実に基づいた内容なのですか?」
監督:「ガンジーのご家族がサポートしてくれたので、かなり事実に近い映画を作ることができました。父と息子の関係も正確ですし、知りうる事実の中で私が物語を組み立てました。映画化するにあたり、私は非常に綿密なリサーチをしました。3冊の本を参考にしました。1冊目はガンジーの研究をしている学者が書いたガンジーの自伝で、これは彼の一生うちのほとんどの日のことが書かれた、信じられないような内容の素晴らしい本です。2冊目はガンジーの孫娘が書いた手紙や書簡を載せた本。3冊目は、南アフリカのガンジーのもとで働いていた経理の方の奥様が書いた、ガンジーの知られざる日常が書かれた本です。映画は演劇とは違うので、幻想的な内容ではなく、事実に基づいた作品にしようと思って製作しました」
質問:「インドの人々はこの事実をこの映画で知ることになったのですか?それとも広く知られていたのですか?」
女優:「インドの人々もこの事実を全く知りませんでしたし、ガンジーに4人の息子がいることも知られていませんでした。ガンジーは非常に大きな存在でしたので、おかしな話なのですが、人間的な部分はほとんど隠されていました。どの本を読んでもあえて触れられていなかったように思います」
質問:「ガンジーという人物を演出しなければならないことに対するプレッシャーはありましたか?」
監督:「もちろんありました。ガンジーという人物はインド人の中に無意識に入っている人物だし、誰でも知っている人なので、ガンジーの演出が一番大変でした。映画の中のガンジーは、もしかしたら実際のガンジーよりもガンジーらしかったかもしれません。また、インドはとても広い国でたくさんの宗派がありますが、演じる上で仕草などを再現するために、同じ宗派で同じ出身の役者を探し、アクシャイ・カンナーに決めました。そして、撮影前に彼を仏教の聖地へ連れて行き、無の境地というか、余計なものをそぎ落とすために10日間瞑想に行かせました。彼は舞台出身なのでオーバーに演じようとするのですが、それを止めさせ自分の中から自然に出てくるガンジーを演じるよう指導しました。そこがキーなんだと言い聞かせ、絶えずそのことを言い続けました」