コンペティション出品作品「リーロイ!」のゲストによるティーチインが行なわれました。

● 日時: 10月22日(月) 20:59〜
● 場所: Bunkamura シアターコクーン
● 登壇者: アルミン・フォルカース監督、アライン・モレル、アンナ・ハウズブルグ、
プロデューサー:ヤン・クルーガー、オリファー・シュトルツ

映画終了と共に満場の大喝采。暖かい雰囲気に包まれた会場でティーチインが始まった。まずは監督が「私はスローラーナー。この作品がはじめての監督作品。44歳の“若い”監督です」と挨拶。リーロイ役のアライン・モレルにとってもこれがデビュー作。「東京国際映画祭に来ることができて興奮してます!」と挨拶するとまたも暖かい拍手がわいた。

Q: 監督はこの作品では脚本も書いていらっしゃいますが、この作品を作ろうと思ったきっかけを教えてください。
監督:まず最初のきっかけは、「子供を使った映画を撮れば予算も安くで上がるだろう」と思ったのですが、それは大間違いでした。冗談はさておき、私は「人を傷つけることのないユーモアにあふれた映画を作りたかったのです。ただ、実際は初稿で使ったジョークの70パーセントはカットすることになりましたが・・・。
Q: ドイツでは公開されましたか?
プロデューサー: 2週間前に封切られました。評判は上々です。人種差別問題や過去の私たちドイツ人の歴史を振り返ることによって、観客それぞれが自己の認識を深め、とても価値のあるディスカッションを生んでいるようです。この映画はユーモアを使いながら、自分自身に対する理解を深めることを観客に促すようです。
Q: ドイツでは、人種差別があるのでしょうか?
監督: ええ。人種差別はありますね。ここが我々の弱点です。いわゆる典型的な白色人種と見た目がちがうといろんなところで差別を受けます。ただ、悪いことばかりではありませんね。例えば、ブラックの人たちは運動能力に優れていたり、ダンスがうまかったり・・・
プロデューサー: 移民が増えてきているヨーロッパではすべての国で起こっている問題です。ただ、一番の問題は「移民国家である」という認識が我々に無いこと。これは難しい問題ですね。
監督: 率直には言いづらい社会問題も、ユーモア使うことによって、伝えやすくなります。
笑いを誘うユーモアとジョークを使いながら、シリアスな社会問題を観客に提起し、人種による文化の違いを反映するこの映画。それは、監督自身が7歳までブラジルで育ち、ドイツに帰ってからのち、自国の文化になかなか馴染めなかったという経験が生かされているといえるようだ。