現在開催中の第20回東京国際映画祭のアジアの風で上映されている映画『ファラフェル』。
本作は、長く続いた内戦が終結したレバノンを舞台に内戦の傷跡を抱えた終戦世代の若者たちの生態を描き出した青春群像劇。
またタイトルの『ファラフェル』とは中近東で広く愛されているヒヨコ豆のコロッケのことを意味する。

上映終了後にレバノン出身のミシェル・カンムーン監督が登壇し「ありがとうございます。本日ここの来られたことは大変私にとって名誉なことです。」喜びの挨拶を述べ観客からの質問に答えた。
本作はミッシェル・カンムーン監督にとっての長編初監督作品となっている。

【Q&A】
Q. “ファラフェル”が空から降ってくるシチュエーションはどんなアイディアから来ているのですか?

A.ファラフェルはレバノンの人々にとってとても日常的な食べ物なのです。
私はファラフェルを通してそんな普通の日々の中に哲学があることを伝えたかったのです。また日常の中に潜む暴力の循環をその哲学が止めてくれると描きたかったのです。

Q.映画の中で描かれているのはレバノンの若者たちの典型的な暮らしぶりなのですか?

A.中東の国々の中でもそれぞれあると思し、人それぞれですがかなりの若者たちがこのような生活環境にいます。私は自分が知っているレバノンの若者たちは“生きたい”“恋いしたい”と純粋に青春を謳歌したいという気持ちを持っていると思います。しかしその裏には暴力が潜んでいるし、いつ状況が変わるかは私のもわかりません。

Q.この映画のレバノン国内におけるターゲット層は?世界で上映することでのメッセージはありますか?

A.特にターゲットはいません。
私は自分が見たいと思った映画や自分のイメージにそった映画しか作っていませんし、映画はアートフォームだと思っています。ですから映画の中にはメッセージも含んでいません。今日の映画で言えることはTVとは正反対の役割を果たしているという事だと思います。例えばTVのニュースを20秒観た人はそのニュースをわかったような気になってしまうかも知れないけど、映画はその20秒の裏側の現実を見せることが出来ます。
今回はレバノンの人々がどう生きているのかを描いていますがこれは世界共通なことだと思っています。

自身の映画論について熱く語ったミシェル・カンムーン監督。観客も大満足のティーチインとなった。
(Report:大野恵理)