女の子なら誰しも子供の頃夢中になったお人形遊び。タカラトミーより発売され多くのファンをもつ「ジェニーちゃん」がなんとテレビドラマになって登場する。
撮影には市販されているジェニー本体と同様のサイズのものを使用し、コマ撮りではなく人形劇のスタイルでピアノ線による操演と特撮が駆使されている。アナログとデジタルが入り混じることで、少女時代にだれもが没頭したお人形びの延長線上に、才能と技術をつぎこまれてスケールアップしたスーパードールラマ(ドール+ドラマの造語)としてとんでもないスタイルで深夜のお茶の間に登場する姿は、ちょっとした事件だ。

しかも監督は「平成ゴジラシリーズ」「超星神グランセイザー」で男の子たちを熱狂させてきた名匠・川北紘一。そして脚本は、「美少女仮面ポワトリン」「ちゅうかなぱいぱい」などでファンシーでヘンテコな世界観が根強く支持されている浦沢義雄が手がけ、ジェニー以外にもスポーツが得意なボーイッシュな「アキラちゃん」や、純和風でお琴もたしなむ雅な「なでしこちゃん」といったお友達のほか、真っ赤な口紅でビジュアル系風の個性的な服装に身を包んだジェニーたちと対抗する悪役キャラ「シスターD」など新たなキャラクターを登場させている。ジェニーmeets浦沢ワールドに川北マジックがふりかけられ、一体どこに向かって何がはじまるのか予測不可能なナンセンスな展開が魅力だ。

製作発表会見に登壇した川北監督は、「『サンダーバード』のような人形ものをずっとやりたいと思っていたんですが、今回ジェニーちゃんというキャラクターを得て、男の子向けの要素も女の子向けの要素もどちらももった今までにない楽しいものが出来上がったと思います。ずっとやりたかったことが実現できて嬉しいです。夢や憧れを軸に、こんな時代だからこそほっとするぬくもり感のある作品世界を作っていきたいです。」と抱負を語った。

女子高生としておしゃれやスイーツにうつつを抜かす日常を送る一方で、シスターD率いる悪の組織から世界を守る「スイーツエンジェルス」としての任務をこなすジェニーたちを描くストーリーは、ヒロインアクションの定石を踏まえながらも、たくみな人形操演と表情のアンバランスさが生み出すスパイシーな味わい、ナンセンスなセリフ回し、人気声優による愛嬌たっぷりのアフレコなど要所に意表をつく演出が仕掛けられる。この世界にはまってしまったらなかなか抜け出せないかもしれない。

■「かわいいジェニー」公式サイト
■OA情報
千葉テレビ  10月1日(月)25:40〜
テレビ埼玉  10月2日(火)26:00〜
テレビ神奈川 10月6日(土)26:00〜
※放送時間及び放送開始日は変更となる場合があります。

(Report:綿野かおり)