誰もが迎える死。愛する家族や人を置いていつかは一人で旅立たなければいけない・・・
死に直面したとき、自分の最後はどう生き、死んでいくのか?「生と死」をテーマに、家族の絆、夫婦の愛の形を描いた感動作『象の背中』の完成披露試写会が9月27日有楽町の丸の内ピカデリー1で行われた。
本作は、秋元康が手がけた初の長編小説の映画化であり、キャストには肺がんで余命半年を宣告された主人公に役所広司、その夫を支える妻には20年ぶりの映画出演となった今井美樹、大学生の息子役に塩谷瞬、娘役には本作がスクリーンデビューとなった南沢奈央がキャスティングされている。

公開を10月27日に控え、ドラマ化、アニメ化、ラジオドラマ化、韓国での映画リメイク、絵本、創作落語、さらには史上初となる14出版社での同時コミック化など様々なメディアで取り上げられている注目作である。
完成披露試写会の前日に完成したばかりという出来立ての本作、完成披露試写会では異例の立ち見を含め900人以上の観客が集結、また試写会の前にはマスコミ向けの記者会見も行われ本作への注目の高さが伺えた。

■記者会見■

会見場には、映画のシーンが再現され砂浜をイメージしたセットが組まれケミストリーが歌う主題化が流れる中、役所広司、今井美樹、塩谷瞬、南沢奈央、原作者の秋元康が登壇し会見に臨んだ。
原作者の秋元が「最高の出来だと思う」と絶賛する本作、質疑応答では演じられて人生観に変化はありましたか?という質問がゆき役所は「死ぬときどうしようとか考えることはあっても普段は忘れてしまいがちでしたが、映画の撮影中は常に考えていましたし、撮影が終わってからも考えるようになったのは本作の影響だと思います。」と語った。
今井も同じ質問に対し「自分を含め大切な人が死を迎えることは普段意識的に考えないようにしていましたし、どうしても家族のためにという思いが先に出てきていましたが、本作を通して自分が本当にしたいことや自分の思いをしっかり持って伝えることも愛の表現だと思いました。」と本作によって変わった自身の愛に対する形の変化を語った。
役所と今井から本当の娘のようだったと言われた南沢も「家族がいる当たり前な日常が大切なものと感じるようになりました。」と答えた。
息子役を演じた塩谷も撮影を終えてからも家族が増えたような気がしていると話し、また移動のバスの中で今井のことを「母さん」と呼んでしまったエピソードを話し会場の笑いを誘った。

■完成披露試写会■

大勢の観客の拍手に迎えられながら登壇した役所は「公開してからもこれくらいの人が着てくれたら嬉しいですね。素晴らしいスタッフといい仕事が出来たと思っていますし、映画20年ぶりの今井さんの相手役が出来て嬉しいです。」と笑みを浮かべながら話した。
役作りのため過酷な減量にもチャレンジしたという役所は本作への思い入れも深いよう、また役所の姿を見ながら自然に役に入ることが出来きた話した今井は「素晴らしい作品と出会えて本当に良かったと思っています。この作品を通して得たのもが私の人生やこれから表現していく物に影響してくると思います。」と述べ本作が自分にとって大きな一歩になったと語った。

(Report:大野恵理)