ユナイテッド・シネマ豊洲で東京スカパラダイスオーケストラの谷中さんと牧野耕一監督を招いてDVD発売記念スペシャル上映会+舞台挨拶/トークショーを開催しました。

<登壇者コメント>
MC:まずは会場の皆さんに一言ずつお願いします。
谷中:皆さん、本当にありがとうございます。こういう状態の中来てくださるファンの方は本当にありがたいです。
MC:『ホンマモン』の称号を与えたいですよね。
谷中:本当に素晴らしいです。外は雨が波打ってますからね。
牧野監督:本当にありがとうございますとしか言いようがないです。今日は映画上映後の舞台挨拶なので何でも話せるということで、色々とばらしながら話していきたいと思いますので、短い時間ですが宜しくお願い致します。

MC:谷中さんはいかがですか、結構時間がたっていますが今振り返ってみて。
谷中:そうですね、まだ映画の中にいるという感じです。「WILD PEACE」のツアーが1回は映画になっているわけですけど、その後も1月15日に全部終わって、もう春のツアーもやって・・・みたいな感じでずっと続いているんで、夏フェスあって今に至るって感じで。でその間シンガポール行ったり韓国行ったり真っ只中にいる感じなので、まだ映画の続きのような、いつ終わるんだろうっていう・・・。
MC:まさに続いているわけですよね、終わらないというか。
谷中:終わらない旅ですね。
MC:こういうのも観終わったから色々と言えますよね。
谷中:そんな始まる前なんか言えないですよ。
MC:どうですか、牧野監督は自分でご覧になって。
牧野:「CATCH THE RAINBOW」という前にやらせてもらったスカパラさんの映像があるんですけど、その時から毎日自分が撮った映像を劇場で観るくらいちょっと寒い奴なので、皆がどういう反応で観てるかなとか気になるんですよ。案外意外な所で笑ってもらったりするんですよね、作り手の意図とは違う所で。ここは絶対笑わせようと思った所で大体皆笑ってもらえないわけですよ。でもここは笑わなくていいだろって所でどかーんと笑ってたりするわけですよね。だからやっぱり映像作りって難しいなあというか、なかなか誤差が縮まらないというか。この映画に関してはさっきここで観ていて一人でジーンとしてしまいましたね。今年もスカパラさんはツアーを回っているわけじゃないですか。でも僕はスカパラさんの2006年を撮ったわけで今年は撮っていないわけじゃないですか。だから自分にとってはすごい懐かしい映像なんですよね。
谷中:自画自賛だ(笑)
牧野:そんな変な寒い意味じゃなくて、自分もそういう風に客観的に観れる映画に仕上がっているんじゃないかなと思ってますけど。
谷中:前作の「CATCH THE RAINBOW」の時よりもより自分たちも映画として観れる映画になってて、ナレーションがあったり映画として途中で観ながら考えられる部分を作ったり意図があったりして、そういう場面を作ったりすることでその前の台詞を反省する時間ができたりするわけですよね。そういうのもやっぱり映画としての手法として素晴らしいなと。映画に対するオマージュみたいなものも色んな所に入っている。
牧野:ありますね。映像が好きな人がもしいらっしゃったら色々と中を観てもらえば面白いんじゃないかなと思いますけど。有名な映画の手法的なものとか。例えばジャン・リュック・ゴダールさんという映画監督がいるんですけど、谷中さんが『元気?どうしたの?最近は?仕事は?奥さんは?子供はどう?』という所で、サングラスをかけているからわからないかもしれないけれど、カメラに向かってカメラ目線で言っているわけですね。例えば『これって映画だよね?』っていうのが当初出てきたと思うんですけど、それも『気狂いピエロ』的というか。まあ異化作用とか異化効果とか言うんですけど、ブレヒトっていう演劇をやっている人が開発した方法で、そこに観た人だから「あーなるほどね!」ってわかるような感じで。逆に谷中さんとかと共犯関係というか、谷中さんの本源はものすごくインテリなわけですよ。早稲田大学第一文学部哲学科卒業で・・・」
谷中:卒業してないから。中退だから。
牧野:知的レベルが僕と合うというか(笑)冗談です。芸術上の問題とかクリエイティブな部分での問題とかも全部いいお兄さんとして自分の相談に乗ってもらって。
谷中:話がちゃんとできるから楽しかったよね。
MC:あの期間も合間合間にそういう話もされてたんですか。
谷中:結構してましたね。また映画自体の話に戻りますけど、今回は「CATCH THE RAINBOW」の時よりも編集が非常に良かったと思いますね。同じ場所の映像とか結構入っているじゃない?ずっと「WILD PEACE」のツアーを撮っててまんべんなく使おうと思うと絶対薄くなっちゃうと思うのよ。それを編集寄りで、街が重複してても、例えばモントルーで重複してるとしてもこれは使おうって思ったらここは長めに使っちゃおうみたいな、そういう潔さがはっきりあったと思うので、映画として見えてきたものがはっきりしてたのかなって。途中から「あ、もうこれ映画になるな」と思った瞬間とかあるわけですよ。
MC:どうですか?
牧野:もう映画になるなと思った瞬間は一番最初ですよ。一番最初に企画を黒田さんというプロデューサーとスカパラのメンバーに持って行った時ですね。「谷中さん、こういうことやらせて下さいよ」って言ったら谷中さんは今回はお財布に苦労しない映画を作ろうねっていう風に言ってくれたんですよ。加藤さんにはめちゃくちゃ怒られて、「なんで20年目じゃないんだよ」って。
谷中:今年18年目なんですよ(笑)
牧野:「普通20年とかそういうくぎりがあるもんなんじゃないの、そういう映画撮るのは」って言われて、「あ、まずいな」と思って。「じゃあどうしてマッキーは18年でやろうと思ってるの」って言われて、前作の「CATCH THE RAINBOW」は3年前の夏だったんですけどちょっと加藤さんが酔っ払ってたんで「4年前に『CATCH THE RAINBOW』やったじゃないですか。ワールドカップも4年に1度なんで、だから折角なんでもう一度やってみたらどうですか」って話をしたらそれでちょっと納得してくれて(笑)
MC:完全にだましましたよね(笑)
谷中:じゃあ次は22年目とかなんだ(笑)
牧野:一番最初に企画をお話させてもらった時に谷中さん、すごく乗ってもらえたっていうのも、ちょっと作り物的な、やっぱりスカパラファンの方だったらきっと色々とわかってらっしゃる部分もあると思いますけど、ステージ上でやっていることとかもやっぱりスカパラさんのステージングとかは皆をびっくりさせたり面白がらせたりしたりするのが一つの心情だと思うので。今回谷中敦主演ということでちょっと名前が大きくなっているじゃないですか。今までこういうことはたぶん許されなかったと思うんです。でも谷中さんとものすごくたくさん時間を共有させてもらって。本当に谷中さんと過ごした時間はすごいですね。やばいですね。
谷中:やばいね。
牧野:本当に感謝していますよ。
谷中:マッキーもツアーの間も一番最初に起きて一番最後に寝るぐらい。
MC:じゃないとあの画は撮れないですよね。
谷中:すごいいい瞬間を逃さないようにすごい努力してもらってたと思うし、そんな中でいい相談相手として自分がいられるということがやっぱりいい映画に繋がったのかなと思いますね。
牧野:あと何度も言いたいですけどあんなに立ち姿がかっこいい人はいないですよ。
MC:むかついてきますよね。
牧野:本当にかっこいいんだ。
MC:ここまで画にならなくてもいいじゃん!って。
牧野:近くにずっといましたけど女だったら結構いっちゃうと思いますね。
MC:なるほど。虫と戯れてあんなかっこいい人ってあんまりいないですよね。
牧野:今日も映画を皆さんと一緒にそこで観させてもらったんですけど、やっぱり谷中さんの立ち姿、谷中さんが出てきた時の横顔、あと顔のアップとか出ると、日本映画の昔のヒーローとかを観ているみたいな感じだったね。三船敏郎とか往年のスターのような雰囲気をすごく持ってらっしゃるなと思いますね。画面に映える人っていうか。