『呉清源 極みの棋譜』の来日記者会見が29日に都内で行なわれた。登壇したのは田壮壮監督と主役の呉清源役を務めたチャン・チェン。
さらに呉清源氏本人を特別ゲストに迎え、実際に映画で使用された一億円相当の碁盤も展示された。

本作は、早くから囲碁に天才的な才能を発揮して14歳で来日し、激動の昭和時代を日本で過ごした囲碁界の至宝、呉清源氏の軌跡を描いた物語である。
撮影は日本の滋賀県で行なわれ、キャストは柄本明、シルビア・チャン、伊藤歩、仁科貴、大森南朋、南果歩、松坂慶子ら豪華俳優陣が脇を固める。
衣装デザイン、プロダクションデザインはワダエミの手によるもの。
2007年に行なわれた上海国際映画祭では最優秀監督賞ならびに最優秀撮影賞を受賞した。

以下、質疑応答の様子

監督「(呉清源さんの映画を撮るということについて)呉先生の生涯を描いた作品を見て、しっかりとした信仰をお持ちになって、精神の世界を探求していらっしゃる先生に尊敬の念を覚えました。現在の社会にはしっかりとした精神、スピリットを持った人が少ないと思うので、だからこそこの映画を撮りたいと思いました。
(苦労した点について)30年代の日本の面影が残す街を描くことや当時の人の持っていた雰囲気を役者に指導するのが大変でした。日本と中国では映画作りのやり方も違いますし、両国の間のコミュニケーション面での難しさも感じました。」

チャン・チェン 「(呉清源さんについて)呉清源さんは非常に記憶力がよく、何十年も前に先生が対局された試合を再現してくださって、特別な方であり、またとても偉大な方なんだなという印象を強く受けました。
(柄本さんとの共演について)柄本さんは、とてもクールでかっこいい方という印象でした。柄本さんは私の演じる呉清源さんの先生役でしたから、塚本さんと共演する際はどのように演じたらいいか考えました。(監督との仕事について)監督の下ではクルーの皆が家族のようにまとめられていました。なごやかな雰囲気で現場を過ごすことができて、仕事は順調にいったと思います。なかなかこのような経験は現場ではできないので、監督にお礼を申し上げたいです。」

質疑応答の後には御年93歳になられる呉清源さん本人が登場。フォトセッションで監督が呉清源さんにやさしく言葉をかける姿が見られた。
11月、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

(Report:Akiko I)