ハイテク技術を駆使し、世界からの孤立“鎖国”という道を選択した日本。そこにはどんな光景が広がっていたのか。

日本のアニメーションは世界に誇れるカルチャーとなった現在でも、驚くべき世界129カ国での公開が既に決定している映画『ベクシル‐2077日本鎖国‐』。

初日舞台挨拶には、声優を演じた黒木メイサさん(べクシル役)、松雪泰子さん(マリア役)、主題歌を歌ったminkさん、そして映画『ピンポン』の監督としても知られる曽利文彦監督が登壇した。

はじめの挨拶で、黒木さん「待ちに待った公開初日が来て嬉しいです。」、監督「映画を完成させるまで長い道のりだったので、無事に公開を迎える事が出来て本当に幸せです。」という一言が両者ともあり、作品の性質上、完成には時間を要したはずだが、二人とも公開を待ち望んでいた様子が伺えた。

【黒木メイサさん】

Q.お気に入りのシーンは?
「映像と音楽の迫力も素晴らしいんですが、キャラクターそれぞれの顔の表情もリアルに描かれていて、皆さんにそのリアル感を感じてもらえるのではないかと思っています。私がお気に入りのシーンはマリアと出会ったシーンです。」

Q.声優初挑戦の感想は?
「声優のお仕事は大変というイメージが強くて、緊張しながらスタジオに行ったんですが、始めてみると難しいと言うよりも楽しさを感じる事ができました。監督に助けてもらいながら最後まで演じました。」

【松雪泰子さん】

Q.お気に入りのシーンは?
「マリアたちが出撃するシーンは高揚していく場面ですし、好きです。あと、最後にマリアが言葉にならない何かを残して散っていくシーンが私は好きです。」

Q.声優初挑戦の感想は?
「キャラクターの個性を声で表現していくので、発声に関しては細かく監督とお話させて頂きました。色んな声を出して使っていくことで、演技に声は重要なんだなと再確認し、大変勉強になりました。」

【minkさん】

Q.映画を観た後の感想は?
「映画を観た後、切なさと希望が入り交ざって、複雑な気持ちになりました。皆さんの声が、キャラクターをより一層際立たせていて自分も負けたらいかんなと(笑)。主題歌の『Together again』は作詞を書かせて頂いたんですが、進む為には何か犠牲を生まなければいけないとか、自分が世界を壊していかなければ進まないとか、そういう人に与えられた宿命みたいなものを、身近にある愛で表現してみたんですが、話すと長くなるので(笑)。」

Q.詞に込められた想いは?
「私はマリアからレオン(谷原章介さん)に向かってのメッセージや想いに近い気持ちがありました。愛という形に例えれば。」

【曽利文彦監督】

Q.世界から注目されるのはなぜだと思いますか?
「世界129カ国という数字を聞くと自分でもビックリしています。日本のアニメーション文化は世界中から注目されているし、期待もされていると思います。そこに加えてCGを使ったアニメーションという事で、日本のアニメーションの中でも新しい形としてより一層注目を集めていると思います。日本の伝統的なアニメーショ文化は、これは本当にずっと保持し続けて、どんどん作品を生んでいくべきだと思っていますし、そこにこの新しい形も参加させて頂いて、世界に広がっていってくれればいいなと思っています。」

Q.最後のメッセージを
「この映画は企画の段階から世界市場に向けて日本のエンターテイメントを輸出していくという志で創り上げました。内容は日本人にとっては非常にショッキングかもしれませんが、自分自身としては、日本人としての美徳である“奥ゆかしさ”とか“謙虚さ”をよりアピールする事で、日本を舞台にしたこの作品で日本の良さを世界にアピールできるのではないかと思って創りました。又、映画としてはショッキングな終わりでしたが、決してこうはなりたくないという風に思わせるのが、この映画のメッセージだと思います。もし気に入って頂けたら、2回3回とご覧になってください。」

安藤アナが松雪さんに質問中、それに答える松雪さんの声を聞き、「松雪さん、そんな呟くように言われるとドキッとしますね(笑)。」という一コマがあった。

監督の作品に対する思いを明確に話していた事が印象的で、日本の文化や美に対しての深い理解と愛情が感じられた。世界に誇れる作品が出来たことは間違いないだろう。

音楽にも世界のコアなアーティストが協力・参加しており、こちらにも注目しておきたい。

◆2007年8月18日丸の内プラゼールにて

(Report:Tomoe Yuita)