日韓の相互理解と文化交流を促進させることを目的に、1998年から始まったシネマコリア。
息の長いミニ韓国映画祭として、多くのファンから支持を得て今年で設立9年目を迎えた。今年は東京・名古屋・大阪で開催。
東京会場となったイイノホールでは、二日間に渡り『懐かしの庭』『ラジオ・スター』『ホリデイ』『青燕』の4作品を上映。

上映第一作目となったのはヤン・ユノ監督の『ホリデイ』。本作は、ソウル五輪が開催された1988年に起こった脱獄囚人質立てこもり事件を題材に、公権力の横暴や貧困問題を描き出した社会派エンターテイメント作品。
イ・ソンジェ演じる主人公のガンヒョクが訴える「優銭無罪、無銭有罪」は、金持ちは裁かれず、持たざる者は罪に問われるという社会の不条理を糾弾した言葉だが、貧困の格差が広がる韓国で、今のこの言葉が再び流行り始めているという。
上映前には監督を務めたヤン・ユノ監督が登壇し観客に向け「こんにちは(日本語)みなさんにお会いできて嬉しいです。この作品は1988年のソウル五輪前にあった事件です。僕はちょうど兵役中にこの事件を知りとてもびっくりしました。映画を見ていただければわかると思うのですが、生き残った犯人は19年の刑期を終えて2ヶ月前に出所しました。そしてこの作品を一緒に見て涙を流していました。本作は語られることの無かった事件の本質に触れています。ヘビーな内容ですがご覧ください。」と挨拶した。
上映後行われたティーチインでは質問する観客からは「すばらしい作品をありがとう。」と多くの映画に賛同するメッセージが監督に送られた。

(Report:大野恵理)