『ベクシル−2077日本鎖国−』完成披露試写会が9日に丸の内プラゼールで行われた。
曽利監督を初め、黒木メイサ、谷原章介、松雪泰子らの豪華ボイスキャスト陣、主題歌を歌うminkが舞台で挨拶した。上映前には今作品がオープニング上映されたロカルノ映画祭での様子が映像とともに報告され、CGをフルに使ったプロモーションビデオが流れた後にminkが今作の主題歌である“Together again”を熱唱し、会場を埋め尽くす満員の観客に美しい歌声を披露した。

曽利監督
「本日は沢山のお客さんがきてくださり、本当にありがとうございます。今回の作品は、コミュニケーションが主なテーマになっています。人と人とが顔をあわせて話をするような機会が失われていくなかで、そのような機会をとりもどしたいという気持ちがありました。今作は3DCGをフルに使っていますが、この手法ですと、実写を撮るような感じで演出が可能なので、自分の手法として向いているなと思いました。また、なかなか日本でSF映画というと、まだ難しいのですが、自分を育ててくれたハリウッドにこの映画をつくって一矢報いることで恩返ししたいという気持ちもあります。キャストの方にキャラクターに命を吹き込んでもらうときには、感動で涙が出そうなくらい気持ちが高ぶりました。実写版があればそのままこのキャストでやりたいです。」

黒木メイサ(べクシル役)
「今回初めて声優に挑戦して、初めは違和感と言うか、不思議な空間にいるなという感じがあったけれど、ストーリーが進むにつれそのような違和感は忘れてしまいました。2077年という未来は、いまからそんなに遠くないので、(ベクシルのようなことが日本に)本当におこったらどうしようとか、いろんなことを考えて、映像も、ストーリーもリアルに感じました。今回初めて声優をしてみて、緊張したけれど、演じることの楽しさを感じさせていただきました。」

谷原章介(レオン役)
「普通は男性が女性を助けることが多いのに、レオンは逆にやられてしまって、ベクシルやマリアといった女性陣に助けられている。この設定はどうなのかなと思って、監督に設定を伺ったところ、本編では描かれていないところでは活躍していて、だからレオンにはベクシルやマリアに愛される魅力があるんだという説明をいただきました(笑)ですから、声入れの時には、レオンのどこかにあるはずの魅力を探しながら声を吹き込んでいましたね。」

松雪泰子(マリア役)
「マリアは、東京民族の生き残りの長として、残された時間を生き抜く強い女性です。すべてを悟ったような包容力と、深みのある女性を表現するために、どんな声で演じるかを監督と相談したところ、低い声でアプローチしていこうということになりました。(マリア役を演じて)、とても勉強になる時間を過ごせました。」

mink
「今回は初めて作詞にも挑戦しています。映画を観てから作詞をして、レコーディングをしたのですが、この映画を観て、人が感じられる感情を、リアルに表現しているなと思いました。切なさがあるからこそ希望があるし、今がどれだけつらくても希望をもってやっていこうという気持ちを歌にこめました。」

今作は、すでに75カ国での公開が決定しており、最後に監督、キャスト陣、minkは75カ国の旗を持った、映画を観るのが待ちきれないといった様子の観客とともにフォトセッションを行った。

(Report:Akiko INAGAKI)