十返舎一九の「東海道中膝栗毛」を原作にしたコメディー時代劇『やじきた道中 てれすこ』の主演3人がニューヨーク市内でプレミア試写会を開催。劇中の旅姿でセントラルパークでパフォーマンスも行った。

ウォルター・リード・シアターの記者会見

Q:主演映画が46年ぶりということでいかがでしたか?
勘:そうですね〜昭和36年だからね。「あっちゃんのベビーギャング」以来。
当時はねとなりのスタジオで『椿三十郎』も撮っていて、そしたら今回もそうだったんだよね。あの頃と同じでね。匂いも同じでだんだん思い出しましたよ。本当に久しぶりでした。
この映画の企画も、下北沢で話した10年前くらいだったかな、結構むかしなんですよ。平山監督からオファーがあって、映画をやりたいね〜って。
そしたら先に平山監督から勘太郎に主演の話がいっちゃって、親より先ですよ!
今度は宮藤さん(クドカン)が七之助で「真夜中の弥次さん喜多さん」撮るっていって。
っていうふうに、撮影までずいぶんあったんですよ。

Q:もしNYで上映が決まったら、この作品をどうみてもらいたいですか?
勘:古きよき時代の日本映画っていうのかな、のんびり・ゆっくりする映画だし。のんびりした感じになってくれれば。
小:江戸時代の人間の元気なパワーを感じてもらいたいですね。
柄:NYでの上映が決まったら本当にいいですね。日本でも時代劇が少なくなりましたからね。

Q:旅の続きが知りたいところですが?
勘:さっきも控え室で話していたんだけども、三条大橋まではいきたいね。
小:この映画の撮影で江戸時代の風景を探して、各地でロケをしたのですが、日本にもまだまだこんな場所があるんだーと思いました。すばらしい風景がたくさんありました。
私も京都までまた旅がしたいですね。
柄:これはわたしらがやりたいって思ってもね、みなさんに見ていただかないと・・・だから宣伝してください(笑)!京都とは言わず広島でも長崎でも沖縄でもどこにでも行きますよ。
監:映画をつくるというのはいろんな要素がかたまらないといけませんし、お客さま次第ですから、そうなるためにはたくさんの方に見ていただきたいですね。

Q:小泉さん、勘三郎さんと柄本さんという芸達者のお二人と共演されてずいぶんと刺激をうけたのではないでしょうか?
小:いい体験をさせていただきました。お二人は舞台でも長く共演されていらっしゃるから息もぴったりで、はじまるとお芝居が止まらないと思われるくらい、ずっと続いていくんですよね。
勘三郎さんは瞬発的に反応していく力があって、うらやましいです。撮影の合間もすごく楽しそうでした。
柄本さんはすごく苦しそう(笑)苦しすぎてナチュラルハイだったから夜中に急に笑いだしたりしていましたね。
監:編集作業のときに300回くらい柄本さんの苦しむカットをみて笑いました。
柄:先ほどの舞台挨拶でもいいましたがね、入院して退院してその期間も短くて、退院したらそのまま撮影直行で首吊りのシーンで、しまいには薬疹がではじめて熱がでて・・・是非ともみなさん、宣伝してください!

Q:勘三郎さんと柄本さんですから、アドリブが多かったのではないでしょうか。
監:アドリブはほとんどないですよ。ほっとくとどこまでも行くお二人なので(笑)、きちんと脚本どおりにお芝居していただきました。

Q:勘三郎さんは今回映画に久々に出演されて、映画への興味というのはいかがでしょうか。
勘:映画への興味はでてきましたね。
撮影中は心が穏やかでしたね。女房に言われたんですよ、いつもと違うって。全然普段から違っていたんですよ。自分はものすごくせっかちで待つっていうことができないのに、映画の撮影だと不思議なことに何時間も待っていられるんですね。
舞台だとスタッフの作業風景はわかりづらいんですが、映画はスタッフみんなで作ってる、いうのがわかりやすくてすごくいい。おもしろい経験をさせてもらいましたね。
また映画をやってみたいですね。

Q:小泉さん、お二人と共演されて具体的にどうでしたか?
小:とにかく勘三郎さんの場合はそこにいることを楽しむ力があって、スタッフを含めて誰にでも分け隔てなく、みんなに同じように接する姿がすばらしいですね。
柄:柄本さんは・・・今も思い出そうとしたら苦しい顔が浮かびました(笑)。一緒にやっていてなぜだか楽しくなるんですよね、なんででしょうね。何か企んでいるような気がします。

Q:NYの印象は?
勘:いろんな人がいますよね、6割が家に帰ったら英語じゃやない母国語だっていうくらいだから。世界のるつぼにいるかんじがするね。ぜも遊びでは来たくないよータクシーは捕まらないしさ、うるさいし、仕事するところだね。
小:数回NYには来ているのですが、何か目的をもっていなければ迷子になる街ですね。
柄:16日から奥さんと二人で先に来ていたのですが、いろんな舞台をみて、地下鉄にも乗れて非常に楽しかったです。
監:映画の印象と変わらない、ぴりぴりした街っていう印象だね。

舞台挨拶では、籠をかついだ二人の男たちが、客席をぬって入場。その後ろから、弥次さん(中村勘三郎さん)、喜多さん(柄本明さん)、お喜乃(小泉今日子さん)が登場。「おいおい、置いて行くな」、「何でお前らが先に行くんだ」・・・などなどと言い合いながら登場。客席を練り歩きながら、そのまま舞台上へ。「お前のせいで雨が降ったんだよ」など。

そこへ、平山秀幸監督が登場。

平山監督:この映画を作ったきっかけは、僕はもともと「ビームクロスビー」、ビリー・ワイルダー、「お熱いのがお好き」なんかのコメディが好きなんです。
日本の素材である「やじきた」でコメディを作れればいいな、とずっと思っていました。僕が大好きなコメディがあるアメリカ、NYで初めて上映できて、とても誇りに思っています。

勘三郎:昨日でリンカーン・センターでの中村座歌舞伎が終了いたしまして、
ありがとうございました。また、このようなリンカーンセンター様のご好意でこうしてNYで「てれすこ」の映画までもが上映できまして、大変エキサイティングです。
毎年柄本さんとは、演舞場でご一緒させていただいていますが、今回は小泉さんも一緒ということで、ドキドキしながらやらせていただきました。
とてものんびりしている映画です。
温泉につかったような映画です。舞台の芝居と違って、演技を変えることができませんが(笑)、楽しんでください。

小泉:今日はありがとございます。今ここに立っているのが、江戸時代からタイムスリップしてきたような、とても不思議な気持ちです。
3人とは人生の旅をしているような、楽しい撮影で、この旅がまだまだ先に続いて進んで行くといいなと思います。
柄本:雨の中お越しいただきまして誠にありがとうございます。
NYに来て、こんな格好をして非常に恥ずかしいです(笑)。日本のマスコミの方もわざわざお越し頂いて、本当にありがとうございます。ぜひ、何でもいいから記事にしてください。(場内爆笑)先ほども雨の中でいろいろやりましたが、臨場感たっぷりにしっかり書いてください(笑)!
私は首つりのシーンがありまして、前日まで芝居の稽古をしていてクランクインし、その後、「座骨キョウサクショウ」で入院してしまい、退院したその日が首つりのシーンだったんです。それで発熱してじんましんも出て、そのまま玉川病院にいって・・・と、今日のざんざん降りの雨と同じくらい大変でしたのでぜひとも少しでも多く記事にしていただければ!と思います。

(Report:Yasuhiro Togawa)