Q:アニメーションと実写で構成されていますが、このように作った意図は?
「主人公のお姉さんがお話を絵に描いているのですが、それとは別にずっと室内にいながら考えている、弟の頭の中に描かれている事をアニメにしようと思いました。」

Q:この題材を選んだいきさつは?
「カトリーヌという脚本家が既に脚本を制作していて、監督を探している状況でした。「月の子供たち」という
特殊な病気を持った子供たちのグループがいるのですが、脚本家はそのグループと交流があったのです。私は、以前子供との交流した仕事の経験があるので選ばれました。」

Q:弟の病気は日本ではあまり知られていませんが、ドイツではどうなのでしょうか?
また、監督がこの病気から感じたことは?
「実際ドイツでもあまり知られていません。ドイツにも30人ほどしか存在しない病気で、病気自体がファンタジーのようなのかもしれません。2、3人の患者にインタビューをしたのですが、何度も手術をしてきているなど、色々と悲しい事を感じました。」

Q:観客の対象年齢は?「星の王子さま」を連想しましたが、魂と体の関係はどう考えていますか?
「観客は家族向けという話をプロデューサーとしていました。子供向けで、大人も楽しめる映画です。特に若い人に見て頂きたく、苦悩もあるけれど、色々な人から力を借りて乗り越えていくという事を伝えられれば良いですね。
子供向けにこの映画を上映していますが、子供たちの方が大人たちより少年が死んでしまうという事がわかったようです。最後少年が死んだのか、という問いに対しては、観客一人一人に決めて頂いていいと思います。
「星の王子さま」とは、希望という点で類似点があるかもしれません。」

Q:キャスティングが子供なので、撮影時に苦労したエピソードは?
「14校くらいに分け募集をかけ、三ヶ月くらいキャスティングにかけました。少年のいる現場が特に大変で、カメラを見てはいけないと言ってもどうしてもカメラのレンズに自分自身が映るのを見てしまうので、隣に鏡を置いてそちらを見させるなど、苦労しました。」

Q:弟が外に行こうとするシーンは、ストーリーの分岐点だと思いますが
「実際ずっと室内にいるのは、患者にとって大問題で、若ければ特にその問題は大きいと思います。外に出れば皮膚がんになってしまう恐れがあるので、姉は外に出れば死んでしまうと信じていますし、どうせ死んでしまうのなら外に出て死んでいくのもいいという思いはあったのではないかと思います。」

家族で会場に訪れたマヌエラ監督は、笑顔で質問に答え、ロビーでも気さくにサインや写真撮影に応じていた。

(池田祐里枝)

★『月の子供たち』は7月19日(木)にも上映があります!