星がちらほらと見える七夕の夜に、三原光尋監督作品『屋根裏の散歩者』の初日舞台挨拶が執り行われた。

これまでに3度も映画化されている江戸川乱歩原作の『屋根裏の散歩者』だが、三原監督作品は設定を現代に置き換え、新たな解釈・脚色を加えた作品に仕上がっている。

初日舞台挨拶には、淡い水色の夏着物を着た主演の嘉門洋子さん、一方ラフなスタイルで登場した相手役の窪塚俊介さんが登壇した。

【嘉門洋子さんの挨拶】
「今日は七夕です。雨が降らないで良かったなぁと思います。ここで七夕のお話をしたいと思います。昔むかし・・・(織姫と彦星の話省略)・・・そして七夕の夜に織姫と彦星が会えますようにとお願いするのが七夕祭と言う事です。まだちょっとあるんですけど、いいですか(笑)?」

「私は今までこの話を知らなくて、自分のお願い事ばかりしていたんですよ。仕事が手につかなくなるなるような彼氏が欲しいとか、もっと面白い作品のオファーがきたらどうしようとか。昔の人たちは人の為にお願い事をしていたんだなと知って私も心を入れ替えまして、皆様のドキドキ感を誘う作品に出られるように・・・これも私の願い事かな(笑)。皆様の幸せを願って生きていきたいと思います。」

【窪塚俊介さんの挨拶】
「ここで一つ話をといきたいですが(笑)。僕は話すことよりも、控え室に入った時に感じた衣装の温度差が尋常じゃないなってびっくりして(笑)。嘉門さんは和服で、僕は着の身着のまま(笑)。」

「この作品は台本を読んで感じた僕の印象と監督とのコミュニケーションを交えながら演じたんですが、完成したものを観た時に、台本では読み取れなかった妖艶な感じがありました。R指定がかかってる事も僕今日初めて知って、きっと監督の個性だと思うんですけど、すごく変な映画です(笑)。いい意味で。自分の部屋で電気暗くして観終わった後に、何にもする気が無くなっちゃった映画です。だからきっと七夕には相応しくない映画だと思いますが(笑)、楽しんでください。」

【脚本の印象は?】
嘉門さん「簡単という意味ではないんですが読みやすくて、テンポがすごく良くて、最後までどうなっちゃうんだろうとワクワクさせてくれる、小説のように重厚な脚本でした。」

窪塚さん「脚本の前に原作を読んでいたんですが、最初に脚本を読んだ時点で原作を読んだ事がある作品だと気づきませんでした。内容がすごく変わっていて、『屋根裏の散歩者』は以前に3人の監督が映画化している作品ですが、原作を読んだと僕に気づかせないぐらい脚色されていて、そしてスクリーンでかかる完成した映像はさらに監督の色がついて、原作、脚本とはまた違う『屋根裏の散歩者』というものが出来上がったなと思います。」

【妖艶なシーンについてのエピソード】
「セミヌードのようなシーンがあるんですけど、緊張のあまり2日前ぐらいから体調を崩してご飯が食べられなくて、胸がしぼんでしまって(笑)“あぁこれは精神力を鍛えねば”と思いました。」

【お互いの印象には?】
嘉門さん「私は窪塚さんを尊敬しました。役に対する愛情に溢れている方で、一見すごく性格が悪そうに見えて(笑)、最初はどうしようかなと思ったんですが、お芝居をしている姿がとても尊敬が出来て、相手役が窪塚さんでよかったなと思いました。言葉では意見交換や打ち合わせをしなかったんですが、私の演技に芝居で返してくださったりしました。」

窪塚さん「一緒のシーンが多かったんですけど。僕は一緒に演じていた嘉門さんしか知らなかったんですが、完成した作品には僕の知らない嘉門さんがいて、本当にお世辞じゃなくて美しく妖艶に写っていて、強烈なインパクトを与えるシーンが多々あって、僕が一緒に演技していた嘉門さんを忘れるぐらいの嘉門洋子の映画でした。誉め合いで気持ち悪くなってきましたね(笑)。」

会場には男女問わず一人で訪れる人もいれば、カップルや夫婦で訪れる姿も見られました。

映画のポスターを見てもわかるように、作品中の嘉門洋子さんは暫し目を留めてしまう妖艶な美しさ。舞台挨拶の嘉門さんは水色の和服を着こなす爽やかでピュアな美しさを持つ女性でした。

一方窪塚さんはラフなスタイルで登場でしたが、一つずつの質問に自分なりの答えで丁寧に答えていた姿が印象的でした。

◆2007年7月7日シアターN渋谷にて

(Report:Tomoe Yuita)