パリを舞台にしたオムニバス映画『パリ、ジュテーム』(06)に日本人監督として唯一参加した諏訪敦彦が、映画『不完全なふたり』で4年ぶりに長編映画を撮った。すべてパリで撮影し、全編フランス語ダイアローグによるフランスと日本の合作。
6月30日(土)の初日舞台挨拶が新宿武蔵野館にて行われ、諏訪監督が観客の質問に答えるというトークショーに似たかたちで行われた。

●諏訪監督「どういうふうに映画を撮ったらいいか色々迷う時期もありましたが、自分としては初心にかえって一番シンプルに映画をとりたいなと思いました。スタッフキャストも良いチームワークで結果的に楽しく撮影ができたと思います。」

●一見おしどり夫婦の二人だが、実は離婚することを決めていた。男女の関係の難しさと素晴らしさを描いた大人のラブストーリーだ。キャストにはヴァレリア・ブルーニ=テデスキ、ブリュノ・トデスキーニだ。撮影はゴダールやトリュフォーの撮影も手掛けたキャロリーヌ・シャンプティエ。
観客からの質問はあのシーンの撮影はどうやって行われたのかといったカメラワークについての質問が目立った。

●諏訪監督「公開にたどりつくまでは簡単ではありませんでした。劇場や配給の方々にしっかりやっていただいて、それでも簡単な映画ではなかったかと思います。是非見た後、あのカップルはどうだったこうだったという話をしていただける映画であればと思います。」

●諏訪監督が拍手の中退場し、舞台挨拶が終了した。すると中年の女性が私に声をかけた。「最近の日本映画はキャストの人数が多くごちゃごちゃしている。この映画は少人数で、俳優の演技もカメラのアングルも素敵です。久しぶりに楽しませていただきました。」おだやかな笑顔から今作の満足度の高さがうかがえた。

(Report:Hiromi Kato)