原作は、「猛スピードで母は」で第126回芥川賞を受賞した長嶋有のデビュー作にして、第92回文學界新人賞に輝いた「サイドカーに犬」で監督は名匠・根岸吉太郎。ヨーコとヨーコによって自分の世界を広げる10歳の少女・薫、そして彼女たちを取り巻く人々の心の機微を、繊細なタッチでていねいに掬いあげていく、味わい深い傑作の誕生だ。

6月23日シネスイッチ銀座にて『サイドカーに犬』の初日舞台挨拶が行われ、竹内結子、古田新太、松本花奈、根岸吉太郎監督が登壇した。

ー登壇者からの挨拶ー
根岸監督「おはようございます、こんにちは。監督の根岸です。今日は朝早くから銀座のこの劇場に来ていただいて第一回目一番最初の映画を観ていただいてありがとうございました。色んなWebなんかで見ているとよかったという評がたくさん載っていますけど、また一方で監督は何が言いたかったんだろう?っていうのもありましたが、何か言いたかったわけではありません。(笑)皆さんに素直に感じていただいて心に残っていただければ嬉しいと思います。」

竹内「皆さんこんにちは。今日はどうもありがとうございます。もうご覧になったと言うことで、第一回目のお客様なので楽しかったと思っていただけたらぜひ色んな方に薦めてください。」

松本「初めまして。近藤薫役の松本花奈です。えっと・・・映画はどうだったでしょうか?(会場から“よかったー!”と拍手)ありがとうございます。えー・・・ではさようなら。」(会場爆笑)

古田「今日はありがとうございました。えー花奈ちゃんが帰ってしまったということでね。(笑)お集まりの竹内結子ファンの皆様申し訳ございません!至福の時を過ごさせていただきました。楽しい映画でした。ぜひとも皆さん宣伝お願いします。」

ー今回竹内さんと共演されてどうでしたか?ー
古田「嬉しいに決まってるじゃないですか!(笑)嫌がる男性がいますか。でもあんまり喋らなかったです。(笑)」

ー今回古田さんと共演されてどうでしたか?ー
竹内「古田さんとは映画や舞台などでお会いしたいと思っていたので撮影は楽しかったです。まぁ人生何が起こるかわからないからこういう組み合わせでもいいんだ、と思っています。(笑)」

ー今までご自身の人生の中でヨーコさんと薫のような素敵な出会いはありましたか?ー
竹内「そうですね・・・もしかしたら色んなところで花奈ちゃんのように、夏の思い出のひとつとしてあったんじゃないかなとも思うんですが、“この人”という人が思い浮かぶわけではないです。でも今は、私は年上の立場として花奈ちゃんと会えたことが、ある意味では一番の思い出だと思います。」

古田「どうなんでしょうね・・・でも映画みたいにヨーコさんっていう、特定した大人の人っていないのかもしれないですけど、その時々で“こんな人かっこいいな”とか“こんな人には絶対ならないぞ”とかそういうことがあって、それで大人になっていくんじゃないかなと思います。」

ー竹内さんと古田さんの印象は?ー
松本「えっと、ヨーコさんは大人っぽいって言うか・・・大人なんだけど、大人の中の大人って感じがしました。(笑)お父さんは監督さんに雰囲気が似ていてさりげなく優しいところが似ていました。」

ー現場での皆さんはどんな様子でしたか?ー
根岸監督「今回は非常にユニークな俳優さんが多かったので、現れては濃い雰囲気を振りまいて帰って、現れては非常に濃い濃い雰囲気を振りまいて帰っていく日々で。どっちかというとこちらはいらっしゃる方々を受け止めて、淡々と映画に似た雰囲気でやっていました。」

ー人生の中で嫌いだったけど好きになった食べ物・物事はありますか?ー
根岸監督「見かけが悪いなと思って食べて美味しかったのはタコの頭。(笑)」

竹内「私はグリンピースが苦手なんですが、克服できそうな気がします。」

松本「えっと・・・大根が苦手だったけど好きになりました。」

古田「人間に食えないものはないというのが私のポリシーなので、嫌いなものはありません!(笑)」

ー花奈ちゃんくらいの年齢のときに何か夢中になっていたことはありますか?ー
古田「一人遊びですね。(笑)一人で遊ぶのが好きだったので、一人で色んな妄想を膨らませ、人形と人形を喋らせたりしていましたね。(笑)」

松本「おにごっこと両津勘吉さんのマンガに今ハマってます。」

竹内「10歳頃・・・多分マンガとかテレビとかだったと思います。」

ー最後に一言ー
竹内「もう初日を迎えてしまったのでどうにでもなれ!という気持ちですが、色んな人が色んな想いを持っている夏休みの記憶というものを、もう一度思い出してみると色んな人たちが浮かぶかもしれません。その上で何か始まるきっかけになればと思います。そしてよい夏休みを過ごしてください。今日はありがとうございます。」

松本「今日はありがとうございました。色々変なこと言ってすいません。では・・・さようなら。」(会場爆笑)

古田「めずらしく普通にお芝居をさせていただきました。なので皆さんにぜひ観ていただきたいと思います。本当に前向きな映画で元気になれるようなお話だと思います。」

根岸監督「皆さんご覧になったように、この映画は10歳の少女のひと夏の記憶に残っている話です。この映画が皆さんの心の片隅に、今年の夏の思い出のひとつとして残っていてくれればこんなに嬉しいことはありません。本日はありがとうございました。」

挨拶中に時折竹内をじっと見つめる花奈ちゃんの愛らしい姿が印象的で、二人の間に深い信頼関係があり映画の中のヨーコと薫のそのものに見えた。

(Report:Tomoko Koya)