デジタルシネマをテーマとした国際コンペティション映画祭、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2007の記者発表が、6月7日(土)に日本外国特派員協会で行われた。
本映画祭は、埼玉県川口市にあるSKIPシティで行われデジタルシネマの発展と新たな才能の発掘を目指し、本年で4回目を迎える。世界中から選りすぐった長編・短編作品の上映をはじめ、招待作品、特集上映、シンポジウムや若手クリエーターの次回企画を応援する企画マーケットも開催される。
この日は、全作品のラインナップ、各部門の審査員、イベントの詳細などが発表され、SKIPシティで作ったという映画祭の予告編なども公開された。
登壇したのは、上田清司(実行委員会会長・埼玉県知事)、岡村幸四郎(同副会長・川口市市長)、八木信忠(総合プロデューサー)、高嶋政伸(短編部門審査委員長・俳優)、瀧沢裕二(ディレクター)。
各自、挨拶に加え、今年度の様子について、映画祭に対する思いや今後の展望などを語った。

●上田清司:SKIPシティは2003年にオープンし、最先端のデジタル映画設備を備え、新しい映像表現に取り組むクリエーターの支援を続けて参りました。この映画祭が、登竜門となり、優れた才能の発掘の場となれば嬉しいです。今年の応募数は、長編で433本、69ヶ国、短編は国内からで328本ということで、最多の多さであり、南アフリカやイスラエルからのノミネートなどもあり、去年は劇場公開に至った作品もあったなど、成果も着々と出ております。新しい映像文化を埼玉から発信し、映画産業を根付かせたいです。

●岡村幸四郎:映画産業を、次世代産業として育てていきたい。埼玉県の強力な支援に感謝しています。

●八木信忠:映画というのは、他のどの劇場芸術とも違い、受けてと作り手ははっきりと分かれているのが常でしたが、デジタルシネマは廉価できれいなものが作れ、皆が作り手になれるのです。

●高嶋政伸:毎年この季節になると、嬉しくなります。真心をこめて皆さんの作品を選ばせていただきます。現代は情報化社会で、その中で何を取って行くか、しっかりと絞って戦い抜いたときに初めてその人にしかできない作品、映画が完成するのだと思います。視点をしっかりと持たないと難しいですね。

●瀧沢裕二:今回の応募作品の際立った特徴は、子供をテーマにしたものが多いこと。色々と議論しましたが、大人たちが等身大の言葉を失ったり、というようなことが考えられるのかもしれません。全体の印象ですが、クオリティーが上がり、映像や絵作りがきれいになり、内容が上手くなりました。理屈でなく、感覚的に伝えることが可能になってきたのだと思います。

発表された概要は以下の通り。

『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2007』開催期間は7月14日(土)〜22日。上映は、長編部門は12作品、短編部門11作品で、それぞれ最終審査を経て表彰式にて各賞に対し授与が行われます。長編部門の審査員には、4人中3人を海外から招いている。
招待作品に『夕凪の街 桜の国』、シネマ歌舞伎。特別上映に世界の子供たちが描くデジタルシネマ「カメラ・クレヨン」、インキュベートオフィス入居者作品、リスボンビレッジ国際Dシネマ映画祭セレクション。
その他、イベントとしてクリエーターとのビジネスマッチング「D-コンテンツマーケット」、キネ旬総研プレゼンツのトークイベントが行われる。そして映像ミュージアムでは企画展、ワークショップ「夏休みキッズムービー」。協賛イベントには、市民イベント、早稲田アートウィーク2007、小学生CG体験、NHKアーカイブス夏祭り、若手作家アニメ展、埼玉県各地ではカウントダウン上映が行われるなど、見所は盛りだくさん。
期間中の動員数については、前年の5000名よりも増加を見込み、全1万席中70%を埋めることを目指しているという。

この夏、時代の新たな映像の可能性がSKIPシティで待っている。
世界中から集まった豊かな才能に触れ、様々な発見や驚きがありそうだ。
(池田祐里枝)