先月開催されたカンヌ国際映画祭“批評家週間”に正式出品された、吉田大八監督『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の凱旋試写会が開催され、監督をはじめ主演の佐藤江梨子、佐津川愛美、永瀬正敏、永作博美ら出演者が舞台挨拶に登場した。

両親の訃報で、東京から田舎に戻ってきたド派手であまりの勘違いっぷりがかえって清々しい佐藤江梨子演じる姉・澄伽(すみか)と、そんな規格外の姉に迷惑をかけられながらも、彼女を題材にしたホラー漫画をしたためる現実派の妹・清深の姉妹の確執を軸に、彼女の帰京をきっかけに次々明らかになる家族の姿をブラックユーモアたっぷりに描いた『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』。人気劇作家・本谷有希子の初小説が原作となっていることでも話題だ。
主演の佐藤とともにカンヌ映画祭に参加した吉田監督は、「カンヌではイメージしていた以上に好評で、こういう日本映画は見たことがないと言われたことはすごく嬉しかったです。」と意気揚々と現地の様子を語った。
また、狂ったような勘違いぶりが最高にはまってた佐藤江梨子は、このエキセントリックな役柄について「私も勘違いしてなんぼですから。澄伽(スミカ)の全然めげないところは好きですね。」と愛着をしめしている様子。
一方、姉の澄伽にいじめられる地味な妹役の佐津川は、「いじめられる側の役で大変だったのは、お風呂のシーンですね。体力的に。一日中お湯に浸かりっぱなしで辛かったです。気持ち的には、お姉ちゃんとやり合う所が大変でした。」と苦労をもらすと、佐藤が「私は足が速くて、学生のときは学年3位で、今回佐津川さんを追いかけるシーンがあるんですけど、“若者に負けたくない”とか思って本気出したら、佐津川さんに“本気にならないでください・・・・”って言われました。」と返すと会場は大爆笑した。
また、佐津川同様、佐藤演じる澄伽の被害者ともいえる幸薄い義姉役の永作は、「この役が良いと言って頂けてとても嬉しいです。“愛すべきうざい女”になろうと思って(笑)。男女関係なく全ての人にそう思われたいですね。」と彼女にとっても新境地になったであろうことをうかがわせた。
澄伽の兄で、これまた彼女にすべてを牛耳られ支配されてしまう役柄の永瀬は「普通は、3人のキャラの中誰か1人と映画を作ることが多いんですが、このトリプルがすばらしかったと思います。現場は佐津川さんの宿題を手伝ったりと、和気藹々としていましたね。」と撮影を振り返った。
また、主題歌を担当したチャットモンチーのライブイベントも行われ、音楽好きの永瀬は裏で超ノリノリだったとか。