デビュー作『Helpless』から11年、代表作となった『EUREKA』を経て遂に!青山真治監督が、一つの場所に集結した『Helpless』『EUREKA』の白石健次(浅野忠信)、田村梢(宮崎あおい)らのその後を描いた『SAD VACATION』が、もう本当に遂に、完成!!『Helpless』の直後にはすでにその構想があったという本作だったが、予算などいろいろの問題の中で実現することなく、2006年の7月に小説という形(新潮社刊)で世に送り出され、その年の10月にクランクインした本作(こうやって書いてみるとそんなに時間は経っていないけど、前2作品からの本作に対する期待の高さからするとやっぱり遂に!)が、2007年5月31日完成披露試写を迎えた。

正直、驚いた。青山真治と、この北九州サーガの変貌に、本当に驚いた。青山監督はこれまでにないくらい観客とのコミュニケーションを濃くしているし、前2作のあるひとつの形としての帰結がこういう形として表れるのか!という、予想をはるかに超えた作品になっていた。たぶん青山真治ファン、前2作のファンが思い描いているであろう、まだ観ぬ『SAD VACATION』像を(これを書いている僕自身も持っていたのだが)、一旦捨てなければいけないことになると思う。そうしないとこれまでとのギャップに戸惑ってしまうかもしれない。それくらいの変貌なのだ。そして、その変貌の結果は、本当に素晴らしい形で現れている。

少しでも早くこの作品が多くの人の目に触れることを願うけど、秋の公開までもちろんあまり詳しいことは語れません!なので、上映前に行われた監督、出演者の舞台挨拶でのわずかな言葉を基に、公開を待ちきれない気持ちに一層油をそそいでください!

「この作品が白石健次らの最後の物語というより、あくまで続きというつもりです。テーマは絶縁関係。予算などの関係で10年も時間がかかってしまいましたが、やっとここまでこれた。僕もちょっとはえらくなったんです(笑)」(青山真治)

「(10年という時間は)いろんな監督、キャストの方たちとの出会いなど重要な時間でした。『Helpless』のときはあまり周りが見えてなかったけど、今思うのは青山監督のところに僕の居場所があるなということです。
(10年経っても)やっぱり健次を忘れてなかった。健次は変わっていないですね。行かざるを得なかった道を選んだ男どおりの形になってます(笑)」(浅野忠信)

「(作品を選ぶ基準は)単純に脚本を読んで、キャラクターが面白いか面白くないかです。監督とは初めてで、これまではイメージがデブで、髪が長くて、こういう人にあんなにいい映画撮れるものなのか?という感じでした(笑)。でも今となってはこの人だったら、これほど素晴らしい映画が撮れる、という感じです」(石田えり)

(Report:kenji Hayashida)