韓国の新鋭リュ・スンワン監督が贈るとっておきのヒューマン・ドラマ『クライング・フィスト』。チェ・ミンシクとリュ・スンボム(監督の実弟)の演技が素晴らしく、見る者の涙を誘う。上映後、心地よい余韻が残る中「5分前に着きました!」とまだコート姿のままのリュ監督が登壇し舞台挨拶が始まった。
「この映画が言葉や生活の違う国で愛して頂けて、作って本当によかったなと思います」と嬉しそうに顔をほころばせるリュ監督。新宿で殴られ屋という仕事をしている人物のドキュメンタリーをテレビで見たことと、刑務所にいるボクサーを知ったことで「大変な人生を懸命に真摯に生きている人に対して、自分の辛さなど恥ずかしく思いました。また勇気をもらいました。そこで、この二人をリングにあげて戦わせたらどうなるだろうと考えたことが、この映画を作るきっかけでした」と語り、さらに「わたしの家族への気持ちも大切なテーマのひとつです。時にうんざりするくらいの、天から与えれた切っても切れない家族の縁を描きたかったんです」と続ける。まるで会場のひとりひとりに話しかけているかのように優しく丁寧な話しぶりが、観客の心を映画同様にぐっと掴んでいた。この映画、必見ですよ!
(Miwa Muramatsu)