25日のフォーラムシアターはさらにバラエティ豊かな作品群が勢ぞろい。
映画監督の井口昇、特殊メイク・造型アーティストの西村喜廣、異色俳優・ミュージシャンのデモ田中のゆうばり常連の3人が新ユニットとしてマッド・パーティーを繰り広げた「無礼ボーイズ・カーニバル」では「刑事まつり」シリーズの名作「アトピー刑事」「中身刑事」(井口昇監督)やデモ田中監督による「顔刑事」の上映、井口監督最新作「おいら女蛮」の予告編&PRアクション寸劇、デモ田中さんの沁みるブルース、西村喜廣さんによる特殊メイクのプレゼントなど1時間ながらも濃厚なひと時が訪れた観客を包んだ。

「トカジャップTV」は、人気作家の戸梶圭太さんが監督・脚本・音楽などすべてを手がけた激安犯罪バラエティ番組風の作品。これまでも数々の自主制作映画をつくってきた戸梶ワールドの入門編といった構成だ。舞台挨拶には、直井卓俊プロデューサーを司会にむかえ、戸梶監督、薫桜子さん、戸梶組常連の恩田愛さん、松木大輔さん、内藤羊吉さん、井口昇作品に多く出演する村上浩章さんが登壇。不倫・詐欺・不法投棄など身近に起きる犯罪の数々を偶然捕らえた映像集というコンセプトで撮られた「やら犯」シリーズや救われないホラー短編がバラエティ番組の合間にコーナーとして挿入される。劇中、軽妙な番組司会者役をつとめた映画監督の佐々木浩久さんやアシスタント役の薫さん、また番組ゲストとして登場する柳下毅一郎さんの3人による軽薄で無責任なフリートークに流れる微妙な空気が絶妙だ。ハイペースな執筆活動にとどまらない戸梶圭太さんのありあまる才能を、ワールドプレミアされた本作で多くの観客が夕張で目撃することとなった。

昨日から続いている諏訪スペシャルでは「かっこいい諏訪太朗を観よう!」と題し、長崎俊一監督の自主制作映画の傑作「ハッピーストリート裏」、エセ・ドキュメンタリータッチによる構成のなかに当時のインディーズ映画界をみることができる貴重な映像でもある「その後」、また多くのファンをもつ山川直人監督「パン屋襲撃」など3本が上映された。

そして深夜には夕張2度目となる吉行由実監督のキュートなピンク映画「魔女になるための3つのルール」が上映。舞台挨拶には吉行監督をはじめ、主演の薫桜子さん、千葉尚之さん、岡田智之さん、撮影の小山田勝治さん、編集の鵜飼邦彦さん、応援ゲストとして中野貴雄さんが登壇。ドジな新人魔女をキュートに演じた薫さんの魅力が炸裂している。