19世紀、製紙業の島トンファ。朝廷に献上する製紙が輸送船と共に炎上。事件解決のためにウォンギュ捜査官一行が島に派遣された。そこに、予告された五つの残虐な殺人事件が起こる。何ひつと解決されないまま、島民たちは狂気に陥ってゆく……
『バンジージャンプする』でデビューし、数々の新人賞に輝いたキム・デスン監督を迎えて、『血の涙』のティーチインが行われた。
上映を終えたばかりの会場でキム・デスン監督は「韓国の歴史を知らないと難しい作品だと思いますが、最後まで席を立たずに観ていただけてよかったです」と挨拶した。現在、過去、未来と時間が交差する構成について、「映画を演出するというは、時間をどう操作するかというが重要だと思っています。なので、時間をどのように配列するかをよく考えて作りました」と話した。また、デビュー作『バンジージャンプする』と『血の涙』の違いについて「『バンジージャンプする』では、”愛で結ばれる”ということについて描きました。『血の涙』は自分自身も知らない人間の貪欲さについて描いた作品です」
作品中の残虐なシーンについては、監督自身もシナリオを読んだ時点ではあまり描きたいとは思えなかったという。「ただ、主人公の父親が行う残虐な行為については、父親の残虐性を主人公に知らせるためのものです」
主人公を演じたチャ・スンウォンについて「今まで何本かコメディーに出演していましたが、今までと違う役をやりたいと思っていた時だったようで、全ての力を出して役に集中してくれました」またパク・ヨンウについては「とても演技力がある人です。今まで自分に合う、やりたい役に出会えないでいて、今回ようやく求めていた役に出会えたようでした。今作で春史羅雲奎映画芸術祭の助演男優賞を受賞しています」
タイトル『血の涙』は「胸が張り裂けそうな時に”血の涙が出る”と言います。今作ではそういう意味でこのタイトルにしました」と語った。
(t.suzuki)