“特攻の母”鳥濱トメさんの話をモデルに描いた戦争群像劇、『俺は、君のためにこそ死ににいく』。本作が5月12日(土)母の日前日に初日を迎えた。豪華な出演陣が壇上に上がり、本作の思いを語った。

徳重聡「この映画、『俺は、君のためにこそ死ににいく』が特攻の事実であり、あの時代の真実だと思っています。是非多くの皆さんに見て頂きたいと思っています。」

窪塚洋介「皆さん、こんなに集まって頂いてどうもありがとう!ありがとう…浜村淳*1です。お客さんが入らなかったら監督から切腹しろと言われていたんで、今日こんなにお客さんが入って頂いて本当に嬉しい思いがします。」
*1『ありがとう浜村淳です』というMBSラジオ番組名。

筒井道隆「二度とこういった戦争が起こらないように自分達がしっかり考えて行動していかなければならないとこの作品を通じて強く思いました。」

前川泰之「演技をして疑似体験する中で、戦争時代の救いはおばちゃんがかけてくれた優しさや隊員との友情だったと僕は思っています。人を思いやる心がいつの時代も大事なんじゃないかと思っています。」

中村友也「白い犬を飼っていました河合軍曹役の中村です。この映画を試写で見て、自分が出てる映画で感動したのは初めてだったのでこの映画にはパワーが集まっているんだなと思いました。」

宮下裕治「自分のセリフの中にあるんですが『国体ってなんだ 俺は家族のために戦う』とあるんですが明日は母の日です。家族を大事にすると共にカーネーションを贈ってください。」

木村昇「僕は映画自体初めてでして、今回新城監督をはじめ、スタッフやキャストの皆さんに助けられてなんとか最後まで演じることができました。映画に対して生きることの凄まじさ、力強さ、そして愛情を持った母が居たということをこの作品を通して感じることができました。」

新城卓監督「鹿児島の知覧という町があります。そこに知覧特攻平和会館がございまして私は何十回となく訪ねました。今日の皆さんが平和で居られることは先人達が国のため、家族のため散ってくれたおかげだと思っています。是非この映画を見た後に知覧に訪ねに来て下さい。平和のありがたさ、尊さをしみじみと感じると思います。」

新城監督や出演陣が舞台から下がると鳥濱トメ役の岸恵子が現われた。「この映画に関わっていた多くの中で私は大東亜戦争を知っている唯一の人間です。」と自身が小学生のときの戦争体験を語った。ずぶぬれの布団をかぶり、逃げ惑う中で生き地獄を見た。「同じときに知覧の富屋食堂に鳥濱トメさんがいらっしゃいました。私達は戦争を憎む気持ちは重なり合うところがあると思います。戦争は本当に嫌です。私は祈るような思いでトメさんを演じさせて頂きました。」

そして、新城監督や出演陣がもう一度舞台に現れると皆その手には真っ赤なカーネーションが!次々と岸に渡した。

撮影現場でも岸の支えが強かったことを徳重が明かした。「岸さんが背中から暖かく柔らかい空気を出されていて、僕はトメさんもこんなふうに特攻兵の方々を包んでいたんじゃないかと思いました。なんとかこの作品をやり遂げることができました。」と涙を堪えながら岸に握手を求めた。

最後に岸は「みんなみんなありがとう あんたらのおかげじゃとう」と優しい“特攻の母”の顔になった。

(Report:Hiromi Kato)