太陽死滅により滅亡の危機にさらされた地球を救うため、究極のミッション”イカロス計画”に挑む宇宙飛行士たちを描いたSFアドベンチャー『サンシャイン2057』。
イギリスの鬼才ダニー・ボイル監督最新作である本作で物理学者・キャパを演じたキリアン・マーフィと、クルーを統括するカネダ船長を演じた真田広之が来日し、会見を行った。

ダニー・ボイル監督から届いたビデオコメントで絶賛を受けた二人。
キリアン:「『28日後…』で監督と仕事できたことは、本当に夢みたいでした。僕は彼の長年のファンだったから。監督のおかげでいろんなことを学べたし、アメリカで成功することもできてチャンスが増えたんです。『28日後…』は僕にとってはとても大切な作品なんです。今回、あれから自分なりに経験も積んで、また一緒に仕事をすることができて。名誉だとしか言いようがないですね。」
真田:「作品を拝見した限りでは、まさに”鬼才”という感じで。もしかしたら監督は気難しい方なのかな、と思ってました。本番中は焦点が合わない感じでしたが(笑)、スタッフと接する時は非常に紳士的でした。とても仕事がやりやすかったです。」

会場には二人が本編中で着用した宇宙服が。
キリアン:「Wow!って感じだった(笑)。とても精巧にできてる宇宙服で、ヘルメットの中にはカメラがついてるんですよ。あれを着たら、動くのも大変!真田さんは不平なんて言わなかったけど、僕にはそれは無理でした・・・(笑)。汗ぐっしょりになって疲れているのが映像をみればわかると思いますが、あれは本物なんです。」
真田:「一生忘れられないアイテムですね・・・(笑)。重くて暑いのに、さらに宇宙遊泳のシーンだから上から吊られるんですよ!キリアンの言うとおり、血と涙と汗の結晶です(笑)。」

Q:撮影前にはキャスト全員で合宿を行ったそうですね。真田さんが料理をされたそうですが・・・?
真田:「他に誰も作れる人がいなかったんですよ。しかも冷蔵庫にあるもので作らなきゃいけないし。船長というよりコック長でしたね(笑)。」
キリアン:「真田さんは押し付けがましくないのに毅然としていて、高貴なところがキャプテンにピッタリ。ギターも上手くって、歌を歌ってくれました。合宿中は皆で和気藹々としてましたね。」

Q:本作に惹かれたところは?
キリアン:「『サンシャイン2057』は監督や脚本家抜きに、本当に素晴らしいシナリオでした。ここ2年で読んだ中でもベストだったんです。読み終わってすぐ監督に電話してオーディションを受けさせてもらいました。僕はSFファンではないのですが、『スターウォーズ』や『2001年宇宙の旅』、『ソラリス』などは大好きで、本作はこれらの知的な流れを汲むものだと感じました。それに、キャパは寡黙で内向的な男。今まで演じた役とは違うタイプのキャラクターであるところにも惹かれました。」
真田:「一番最初に惹かれたのは、ダニー監督ですね。この作品が数あるSF作品の中にどういう形で切り込めるのかという戸惑いもありました。作品がスケール感などではなく、練りこまれた人間ドラマに集約されているところが私には魅力的でした。これを監督がどう料理するのか、とても楽しみだったんです。日本人船長として何ができるのか、期待と不安で撮影に飛び込みました。」

Q:いろんな国の俳優さんと演技をされてどうでしたか?
キリアン:「シナリオ上の理由もあって、いろんな国の俳優が集められました。いつも新鮮な気持ちでいられましたよ。演技や役作りも国によって違ったし・・・。監督がリハーサルに時間を費やしてくれて、お互いに知り合うことができたから、俳優も100%演技につぎ込む決意ができたんです。」
真田:「人間として知り合うことで、アンサンブルに必要なニュアンスを得ることができました。もう監督の演出はその段階で始まっていたんだと思います。合宿のおかげで、アイコンタクトでお互い通じるようにもなりました。まさにテーマにぴったりなんですよ。求められているものが現場にあったんです。国境を乗り越えて目標に向かって突き進む。皆争ってる場合じゃないんです。後には素晴らしい友情と充実感が残りました。」

Q:日本人が船長を演じる意義は?
真田:「やはり”地球上におけるアジア人の役割”というものを意識しましたし、プレッシャーはありました。日本人がそういう位置に置かれる時代になったんだな、とも思います。日本人特有の美徳や精神性を求められていたんだとも思いました。そういった忘れがちだけど大事なものが、カネダ船長の行動の裏づけになるように託されてたのかもしれません。国際化が進んでも、変わってはいけないものに彼自身気付いていく。映画を観る方にもそれを感じて欲しいですね。」

Q:50年後の地球はどうなっていると思いますか?
キリアン:「自分の50年後は考えられませんが、子供が生きる世界のことは考えますね。そういう意味でもこの映画が若い人にメッセージを伝えることができればいいなと思います。」

(umemoto)