『ポリス インサイド・アウト』スチュアート・コープランド監督来日記者会見
3月29日、伝説のスーパーロックバンド「ポリス」が駆け抜けた時代をシャープに描き出すプライベート・ロック・ドキュメンタリー『ポリス インサイド・アウト』の公開を直前に控え、ポリスのドラマーでもあるスチュアート・コープランド監督が都内にて来日記者会見を行なった。
70年代後半から80年初めまで短期間ながらも全世界を席捲し、現在も多くのアーティストに影響を与え続けている伝説のスーパー・バンド 「ポリス」。バンドのドラマー、スチュアート・コープランドが、ドラムの裏側から8ミリキャメラを回し続けた膨大な映像には、衝撃のデビューから、瞬く間にスターダムを駆け上がるバンドの軌跡が、60曲を超える彼らのオリジナル・ソングをバックに記録されている。活動休止から20年以上を経て、ポリス解散の真実が今明かされる。
「Hello,コンニチハ東京!僕はドラマーだからマイクをどう持っていいか分からないよ。」と、ジョークを交えながらフランクに挨拶したコープランド監督は23年ぶりの来日の印象について、「当時と比べて皆さんが個性的でおしゃれになったと思うよ。」と話した。
Q::最初からドキュメンタリー映画にしようとして撮影していたんですか?
「観光客のような気分でおもちゃみたいカメラを回し始めたんだ。『風と友に去りぬ』のような作品にしようと気持ちもあったかもしれない、ただ本当のカメラの使い方と映画の作り方をまだ知らなかったんだ。でも目の前にあった大冒険が撮れたと思うよ。」
Q:自分で撮った映像を20年以上経って編集するのはどういう気持ちだったんですか?
「撮影していた時のことは自分でもよく覚えている。当時はアンディとスティングもかっこよかった。今でもかっこよいけどさらに重みが出たし、スティングの髪の具合も当時とは違っていた(笑)。アンディとスティングの髪の量を合わせても僕には及ばないよ。これは全部ジョークだから、あまり本気にしないでほしいんだけど。」
Q:この映画を製作することを決めた時に再結成することは頭にあったんでしょうか?
「全く夢にも思っていなかったんだ。製作中に再結成があるんですか?と聞かれる度に「ノー!」と言っていたんだけど、今となっては全て嘘になってしまった。ポリスとしての思い出を箱に詰めて、決別する気持ちを持っていたんだ。制作が終わって棚の中にしまったと思った翌日にスティングから「やろうぜ」と電話がかかってきた。制作中はポリスという怪物に飲み込まれるような気分だったんだけど、今年はスティングとアンディも同じ気持ちを味わうんじゃないのかなと思うよ。」
Q:この映画を通じて初めてポリスを知る若者達にメッセージをお願いします
「いい質問だね。若い時は世界を壊すような気持ちを持っていたけど、僕らも大人になって子供を持ち、税金もきちんと払うようになって、そういう気持ちはなくなった。暴動を起こされたら困るなと思うんでね、「きちんと野菜を食べて、宿題をやり、そしてロックするんだぞ。」というメッセージを贈るよ。」
Q:スティングやアンディがNGを出したシーンはありますか?
「アンディはどのシーンも気に入ってくれた。スティングはハンサムでミステリアスな存在。アンディはいつも笑いをとる。ローリングストーンズ紙の取材で自分とアンディとしゃべり倒して記事にしてもらおうとしていた。そうするとスティングがだまっていて一言、「空が青いな」という言葉だけでスティングがそう言ったと書かれる。それだけスティングは注目され、カリスマ的な存在であった。だからこそ自分も日本に来られたのかも知れない。でもやっぱり今回のスター的存在はアンディなんだ。
Q:喧嘩別れしたという噂の真相は?
「大した喧嘩じゃないよ。喧嘩別れはしていないんだよ。結成した時から喧嘩していたんだ。ある意味で中身は何も変わっていないと思う。喧嘩の内容だけどスティングがスローでやろうというと僕がアップテンポでやろうと言う、僕がもっとラウドにやろうと言うと、スティングがもっとソフトにやろうと言う、こんなことが繰り返されていたんだ。」
Q:現在のポリスの活動について
「今はお互いのことを好きなんだけど、それは前から変わっていない。当時からお互いのことを怒鳴り合っているよりも、笑っていることが多いと思う。本当の兄弟みたいに大喧嘩はするけど5分後には笑っているようにね。今回はスティングがアンディとスチュアートに声をかけたのが再結成のきっかけだったけど、スティングは今ならスチュアートはもっとスローにやってくれると思っていたんじゃないかな、でもそれは大間違いだよ(笑)。皆さんがお待ちかねの日本公演は来年の2月の予定。ポリスとしてまた来日するよ。」
会見の最後、スチュアート・コープランド監督は用意されたドラムに座り、サプライズ演奏を披露。最初から最後までサービス満点なスチュアート・コープランド監督だった。
(M.NIBE)