『shall we ダンス?』から11年、周防正行監督の最新作『それでもボクはやってない』の初日舞台挨拶が1月20日(土)日比谷シャンテシネ1で行われました。

この映画のテーマはずばり“裁判”。痴漢冤罪事件を題材とし、日本の裁判制度に疑問を投げかけている日本人にとって笑えない社会派ムービーです。
初日一回目上映後に舞台に現れたのは主人公被告人役の加瀬亮、その弁護にあたるベテラン弁護士役の役所広司と新米弁護士役瀬戸朝香、被告人の母親役のもたいまさこ、そして脚本も手がけた周防正行監督です。

役所「11年間失業生活を送っていた周防監督の今まで違ったすばらしい作品だと思っています。また新たな周防監督ファンが増えるのではないかと思います。(笑)」

周防監督「僕は初日はいつも舞台から客席の写真を撮っているんです。最初に見てくださった方々の顔の写真を記憶するために撮っているんです。というわけでちょっと撮らしてください。すみません、自分の趣味に没頭しちゃって(笑)11年ぶりと言われてもあまり本人は考えてなくて、とにかく僕が見た刑事裁判の姿をきちんと撮らなければいけないと思って。そればっかりだったのであんまり感慨もなく立っています。シナリオが書き終わるまで3年半かかりました。他(の6年半)は草野球したり色々していました(笑)」

Q.カメラに色々ついてるものがありますがいつも持ち合いてるんですか?
周防監督「映画のキャンペーンで日本全国色々行ったんですね。大阪でぼくの大好きなたこやきを食べたんですが、たこ焼きのキーホルダーをくれたんです。それをきっかけに行った土地の名物をあつめるようになりました。」
加瀬「連れて行ってもらったたこやき屋のレジにそのたこやき屋のストラップが売っていて、半分シャレのつもりで監督にあげました。」

Q.撮影中の監督と現場の雰囲気は?
加瀬「監督は僕から見て楽しそうでしたね。現場はすごい楽しかったです。」

瀬戸「あたしから見た監督は作品に入るとガーッと集中される監督で、でもお茶目なところもあるしお弁当を写真撮ったりするところもあるんですけど、本当に目がいつも真剣だったので素敵だなと遠くから見ていました。私は蘭々(被告人の元彼女役の鈴木蘭々)と山本君(被告人の親友役の山本耕史)と固まって居ることが多くて、山本君が息抜きのときにマジックやってくれて盛り上げてくれました。」
もたい「スタジオの中のセットの中に入ると苦しいんですけど、こっちはシニアグループで仲間にはいれてもらえませんでした。(笑)」
瀬戸「そんなことないですよ〜!」
もたい「もちろん役所さん、光石さん(痴漢冤罪当事者役の光石研)がシニアグループですね。たまーに声はかけてくれるんですけど。」
加瀬「グループ分けは全然意識してなかったんですけど、もたいさんとはずっと話したいなと思っていて、でも場所が離れていて。ようやく慣れてきたころに、もたいさんのところへ行ったら『ようやく来たわね』って言って笑。すいませんでした。」

Q.最後に一言
加瀬「今回の映画は自分にとっても考え方や物の見方を教わった映画でした。描かれていることは今自分の居る場所のことなんだなあと思って。身近な問題として持ち帰っていただけると嬉しいです。」

瀬戸「本当に私も自信を持ってこの作品をお客様にお届けすることができるので。本当に素敵な作品に仕上がりました。見ていない方たくさん居ると思うので見てみたらと声をかけてくださることを願っております。」

もたい「シニア代表として(笑)長く生きてきても知らないことは本当にたくさんあるんだ世の中には、と改めて考えさせられた作品でした。皆様もなにかのきっかけになる映画かもしれないと紹介していただけたら嬉しいです。」

役所「本当にこの作品に参加して良かったと思います。この映画で日本の裁判制度が少しでもよくなればいいなと思います。皆さん是非宣伝部長をお願いします。じゃないと、『それでもボク、流行ってない』になってしまんで。(笑)」

周防監督「そうか、全然気づいてなかった。(笑)すばらしいね。やっぱり見方は色んなところがあるんですね。僕の中でこの映画は完結していないです。完結しないまま皆さんにも帰って欲しいと思います。よろしくお願いします。」

『興味がないものは撮らない』
そんな作り手の姿勢である周防監督が日本の裁判制度に焦点を当てリアルに法廷模写をしているこの映画。
裁判員制度が2009年5月までに始まる前に、まずは知らなくてはいけないことが山積みなのかもしれません。

(hiromi kato)