惜しくも11月29日に急遽した実相寺昭雄監督の遺作となった『シルバー假面』。1971年−72年にTBS系で放映された、“等身大”特撮ヒーローTVドラマ『シルバー仮面』をベースに、3年余りの時間をかけ全三話のDVDオリジナル作品として製作されたが、「ぜひ、劇場公開を!」という多くの声と高いクオリティに後押しされ、ユーロスペースにてレイトショーでの特別先行上映が実現した。初日の12月23日には、キャスト、スタッフら総勢7名による舞台挨拶が行なわれた。

主演のザビーネ(シルバー假面)に大抜擢されたのはファッションモデル内田仁菜として活躍中とニーナさん。「本格的な映像出演は初めてでしたが、スタッフ、キャストのみなさんに手取り足取り教えてもらって無事に撮り終えました。」と、初々しい笑顔を見せた。
そして、シルバー假面の衣装を纏って現われたのは170cmの長身を生かし、初めてスーツアクトレスに挑戦したMiWaさん。「人間味と女性らしさを強調できたかなと思って、がんばらせていただきました。」と話した。
赤瀬元次郎を演じた島田久作さんは、「私は実相寺監督とはデビュー作の『帝都物語』からこの『シルバー假面』まで、幾度となくお仕事をご一緒させていただきまして、本当に楽しい時間を過ごさせて頂きました。そんな縁もあって集まってみなさんに一言でもお礼を申し上げたくて壇上に上がらせてもらいました。本日はめいっぱい楽しんでいってください!」と話した。
実相寺監督とは40年来の盟友であり、劇場の弁士とナレーションを担当した寺田農さんは、満員立ち見の場内を見渡し、「師走の押し迫ったなか、忙しいのによくもこんなにも人がいるのかなと。でも映画というのは初日だけじゃないんだから、これはご覧になった方が一人10人には口コミで言うと。これを言わないとカリガリ博士っていうのが出てきますけれど、石橋連司の呪いがあながたたにも降りかかる。多いに宣伝してください!実相寺昭雄最後の作品ですから、実相寺の世界をお楽しみいただければと思います」と、笑いをふりまきながらも重みのある言葉を残した。
第二話を担当した北浦嗣巳監督は、「実相寺監督としては「作品というのは作り手から離れたら、あとは自由に楽しんでくれればいいんだ。」と言っていました。これも力のある作品ですので、十分に楽しめると思います」、シルバー假面のコスチュームを担当した武田団吾さんは、「子供の頃、ブラウン管の中で見ていたヒーローを自分の手で再生するお手伝いができて光栄です」と話した。

舞台挨拶の最後にはうれしいホットニュースも伝えられた。ハンブルグ日本映画祭から招待に加え、ドイツ、インドほか数カ国の配給業者から相次ぐオファー。
シルバーの光は時代や国境を越え、さらに輝きを増していきそうだ。
(M.NIBE)