モントリオール世界映画祭3冠受賞作品『長い散歩』が初日舞台挨拶!!
本年度モントリオール世界映画祭で<グランプリ><国際批評家連盟賞><エキュメニック賞>3冠受賞作品『長い散歩』が12月16日渋谷Q-AXシネマにて初日舞台挨拶が行われました。
ある初老の男が母親から虐待にあっていた隣室の少女を救い出し旅に出る。しかし世間はその旅を誘拐事件と見なされ、捜査の網の目は彼らを次第に追い詰めていく…。日本人が本来持っている優しさを見つけ出し、自己再生されていくファンタジーです。
初老の男に日本の名俳優、緒方拳。激しい虐待をする母親役に高岡早紀、旅の途中で出会う青年ワタルに松田優作の次男の松田翔太。そして偶然オーディションに紛れ込んでいて即満場一致で決定した、役と同じ当時5歳の子役に杉浦花菜。
『少女』『るにん』と次々に監督作品を発表し、個性は俳優であると同時に映画監督としてのスタンスも確立しはじめている奥田瑛二の長編3作目です。
MC:初日を迎えた感想は?
奥田監督:初日は一番怖いです。でも最近泣かなくなったんです。『少女』の頃はこの辺でもう泣いていましたね。習うより慣れろ、ですね。
緒方:一週間ほど前に北極に行ってオーロラを見てました。今日どのくらいお客さんがきてくれるか心配でした。
花菜ちゃん:頑張って撮りました。どうでしたか。上手でしたか。
一気に台詞を読み上げるように花菜ちゃんが緊張した面持ちで挨拶すると…
緒方:あなたは最高!
MC:奥田監督はどうでしたか?
花菜ちゃん:優しかったです。セリフを教えてもらいました。
奥田監督:あのね、僕と緒方さんになんて眼中にないの。翔太君の初日から目がキラキラなの(笑)。映画と同じようにお兄ちゃん一緒に行こうってということになっていました。
高岡:今日を本当に楽しみにしてきました。ありがとうございます。本当に大変な役柄でした。
MC:実生活にお子さんも居るということでしたが…。
高岡:ええ。でも映画中は役柄になりきっていました。(ストーリーの)生きてる中で私もつらかったので。撮影中は逆の言い方になってしまうんですが楽しかったです。
松田:この映画に出られて、初日の舞台で一緒に出られて、こんなすばらしい映画の中にいられたということを嬉しく思います。撮影の最初はすごく緊張してたんですが、花菜ちゃんが居て景色があってワタルになりきれた気がします。
奥田監督:テーマはとても重いのですがファンタジーにすることによってお客さんの心の中に入っていったと自負しています。花菜ちゃんの虐待シーンは朝7時にスタッフが全員集合したんです。そうするとマイナスのアドレナリンが発生するんです。でもそれがフィルムに残らないように、虐待のシーンを優しい気持ちで撮ることによってキレイにフィルムに残るように。何か洗われたような心に残るように、いい意味で伝わるように撮影に望みました。そしてあの景色にそのシーンが同化したんだと思います。
よろしくお願いします、と奥田監督が最後にしめると感極まってポケットからハンカチを取り出して涙を拭きました。
(hiromi kato)