モーツァルト生誕250周年である2006年。クラッシク・ブームが巻き起こっているこの日本で、なんと初の本格クラシック映画『神童』が誕生!観る者を感覚的な世界に導いてくれる音楽と、圧倒的な存在感で美しい物語を奏でる成海璃子と松山ケンイチ。この2つの要素が見事に調和し、今までになかった感動を生み出した。

本作を”音楽を通じて大切な人と出会い、少女が心を開いていく”映画だと笑顔で語ったのは、才能をもてあます主人公の少女・うたを演じた成海璃子。ドラマ「瑠璃の島」や「1リットルの涙」などで”神童”と称された成海は、ピアノ演奏の指導を担当した清塚信也(ドラマ『のだめカンタービレ』で千秋真一のピアノ吹き替え演奏も担当!)にドキッとするぐらい本物だと思わせたそうだ。
共演者の松山ケンイチも「成海さんにはすごく助けられました。ものすごく感がよくって、一緒に演じていると本当の意味でワオになれたんですよ。うたを感覚的に取り入れて、それを表に出している感じですね。そこがうたにも通じてると思ったし、”うた=成海さん”というのがよくわかりました。」と絶賛。5歳から小学生まで習っていたピアノを久しぶりに猛練習しました、と話す成海の笑顔が作品への期待を高めていた。

そしてもう一人の主人公、音楽大学を目指す浪人生・ワオを演じたのは、今最も注目されている俳優・松山ケンイチ。『男たちの大和 YAMATO』や『デスノート』での活躍が記憶に新しい松山は本作でピアノの猛特訓をしたと言う。それもそのはず、ワオはベートーヴェンの「情熱」を演奏するのだ。「5月から撮影だったので1月から猛練習していたんですけど、先生に”ベートーヴェンの「情熱」を演奏するには20年かかるよ”と言われてしまったんです・・・(笑)できることはやろう!と思って頑張ったんですが、成海さんはもう完成してて。できるようなふりをしてました(笑)」

クラシック漫画の金字塔とも言われる、さそうあきらの『神童』を映画化した本作。萩生田宏治監督はピアノを弾いた経験もなかったと言う。原作を読み終わって、そこに存在するものを確信し、すぐに近所のピアノ教室に足を運んだのだそうだ。「今回たくさんの素敵なピアニストに出会って話をし、演奏を聴かせてもらうことで、今まで知らなかった刺激的な世界があることを教えてもらいました。音楽に馴染みのない方にも楽しんでもらえますよ。なによりピアノに正面から向かっていった成海さんと松山さんの今のそのままの姿がフィルムに焼きつけられたと思ってます。」

「言葉ではなく音楽で理解する、というのが不思議でした。でもそういう感覚的な力を持つものが音楽であり、芸術なんだと思います。」と松山は語る。

今、聴きたい物語はここにあるのかもしれない。

(umemoto)