日本映画界の天才・岩井俊二が、日本映画界の巨匠・市川崑を描いた『市川崑物語』。新宿ガーデンシネマにて公開初日を迎え、岩井俊二監督が舞台挨拶を行った。

きっかけは、今年復刻した市川崑監督の名作『犬神家の一族』のメイキングを岩井監督が手がけたことだった。そこからだんだんと話しが進み、今回の映画が決定した。今朝の8時に完成したという本作は、岩井監督自身、非常に思い入れが強く「タイトルは『市川崑物語』ですが、『岩井俊二の〜』を頭につけたいくらいです。僕の中にあった崑ワールドに対する恋心のような、非常にスイートな想いに近づけたいとこだわって作った映画です」と語った。

天才・岩井俊二をそこまで魅了した市川崑監督は、岩井監督が初めて「映画監督」という存在を意識した人物。市川監督の代表作『犬神家の一族』は岩井監督にとって最も大きな映画だと語る。「あの映画を見たとき、はめられたと感じた。見る日の前の夜になぜか『犬神家の一族』の夢を見ていたんですよね。でも、実際に見終わったあとはその夢を超えていた。はるか夢の彼方だった。ホラーを見に行くという感じだったのが、いろんなものを口の中に放り込まれて、何がなんだかわからなくなった。それが何だったのか解明するのに何十年もの時間がかかってしまいました。僕の原点です。」
(林田健二)