原作は、ベストセラー作家渡辺淳一が、男と女の根源的な相違をテーマに、深遠な愛を描いた恋愛小説『愛の流刑地』。04年11月から06年1月日本経済新聞で連作された同作は、読者の間で「愛ルケ」現象を巻き起こした。この原作を長年ドラマの演出を手がけてきた鶴橋監督の手にかけ脚本を練りに練り上げ、7月から2ヶ月間の撮影、2ヶ月半の仕上げを経て、キャスト・スタッフが心血を注ぎ込んだ作品が遂に完成した。

原作者の渡辺淳一は、映画を見た感想について感慨深げに語った。「僕の原作は40本以上映像化されているんだけど、今回が一番良かった!ほぼパーフェクトにいい映画に作って頂いて、東宝製作の方から、鶴橋監督、出演者の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。正直最後のところで涙が滲んできたんですよね。こういう映画で泣くというのはめずらしい。こういう究極の愛の深さ、人間が自ら持つ業とその葛藤の中で、愛の頂点でああいうことになって、そういうテーマの中で泣けるというのは奥深い良い作品になっていると思いました。僕が原作に込めたテーマのほとんどは表現し尽くされているので大変うれしい。どうもありがとう」
ドラマの演出を40年務め、今作が映画初監督となる鶴橋監督は「今先生から褒めて頂いたので、また一個クリアです。最後に豊川悦司は「俺は選ばれた殺人者なんだ」と言っていました。俺も選ばれた監督なんだと思います。多少でもビギナーズラックがありますように、新人ではありますが、これから豊川、寺島さんと地方も一生懸命回って、なるべく一人でもたくさんの方、特に女性の方に見ていただきたいと思います。東京発、愛の流刑地です。」と語った。豊川さんを超人ブブカ、寺島さんを弥勒菩薩に例えるなど、監督の出演者に対するコメントから、絶対的な信頼関係と愛情が感じられた。

主人公、村尾菊治役の豊川悦司は「この話を頂いた時、大ヒットした連載小説であり、認知度、知名度がものすごくあったと記憶しています。みんなが知っているお話の主人公をやらせて頂けることはすごい光栄なことでもあり、また自分にとってもリスクの大きい仕事だなと感じたのを記憶しています。とても力強い美しい映画だと思います。一人でも多くの方に見てもらいたいと思います。」と話した。
菊治と運命的に出会い激しい愛に生きる人妻・入江冬香役の寺島しのぶは「撮影は監督を始め、スタッフの皆さん、豊川さんをはじめ、すてきな共演者の皆さん、その大きな海の中に漂って、狂おしいくらい人を愛して何の迷いもなく生き抜いた冬香をできたこと、とてもうれしく思います。この映画を見た方の感想がひとりひとり違っていて、これだけテーマを監督が投げかけたんだなと思うと、一人でも多くの方に劇場に足を運んでいただいて、色んなことを感じて頂きたいと思います。人を狂おしく愛することはすてきなことだなと思いました。」とコメント。
女検事・織部美雪役の長谷川京子は「はじめに話を頂いた時に、検事の役は私では若すぎるのではないかと思いました。私の年齢で裁けるのかと不安で、毎日緊張の連続でした。おととい作品を見させて頂いた時、こんな大人の純愛映画があるのだとびっくりしました。お二人が本当に美しい恋愛をなさっていたのでとてもうらやましく、自分もそういう気持ちを十年経っても二十年経っても思えるような心を持っていたいなと思いました。」と話した。
寺島しのぶと実の母娘を演じた富司純子は「素晴らしい映像ですし、素晴らしいスタッフがそろっていますし、本当に素晴らしい大人の映画だと思います。絶対たくさんの女性に見ていただいて、女の幸せが何なのか考えていただけたらと思います。」と話した。

<質疑応答>
Q::冬香を美しく描くために監督として気をつけたことは?
監督:心も体も素っ裸じゃないとできなかったんですね。たぶん寺島さんは豊川さんを信頼したんでしょう。僕らの映像を信じてくれたんでしょう。結局、元が美しかったということですね。心もです。

Q:寺島さんはいかがですか?監督、豊川さんとの信頼があってこそのシーンだったと思うのですが。
寺島:もちろんそのとおりです。この本を頂いた時に、全て腹をくくらないと何事も始まらないし、監督と出会った時に、全てをさらけ出すつもりでやりました。監督の要求することは全て「うん」と言おうと決めて撮影にのぞんだので、すてきな作品で撮影現場がとても清清しくできる現場ってそうそうないと思うんで、笑いの絶えない、かつ撮影のときは集中できる環境を監督が作って下さり、丸裸でできたので、それを感じて頂けたらと思います。

Q:豊川さんの後ろからの全裸の姿がとても多かった気がするんですけど、その理由をご説明頂けますか?
豊川:前から撮れないでしょ。(場内大爆笑)
鶴橋監督:とてもいい質問だと思います。従って、僕の気持ちだけ分かって頂きたいのですが、首を絞める時、寺島さんが上になっているわけですね。下でいるってことは三倍近い力が必要なんですよ。下から締めることによって豊川さんが正面になっていますから、そこもひとつ。DVDを作らせて頂けるんでしたら秘蔵版がまだ沢山ありますから。豊川さんは堂々と全裸で歩いてらっしゃいましたから、醜いとかきれいとかそういうことでなくて、単にだめなんでしょうね。それだけです。でも男の背中ってこんなに美しかったかって思いました。

Q:豊川さんのセリフで「死んでもいいくらい人を愛したことはありますか」というセリフがありますが、ご自身振り返ってみてありますか、それはいつですか?
豊川:死にたくなるくらい人を好きになりたいと思っていますけど、それができるかどうかは自信がないというか。でもいつもそういう風に人を好きになりたいという願望はすごくあります。
寺島:私は常日頃から母に「明日死んでくれるかといったら「うん」と言える人と結婚しなさい」と言われているので、その教訓を元にすてきな人を捜し求めたいと思います。今は今で幸せです。
長谷川:私はまだ恋愛っていってもそんなにたくさんしていないので、また10年後ぐらいに聞いて頂けますか。

Q:お母様としてご覧になって演技や衝撃というものはなかったでしょうか?
だって女優ですから。娘は裸も衣装だって言える人ですから、ご覧いただけると分かると思いますけれど、とってもきれいだし親としては言うことありません。先輩の女優として言わせていただけば、冬香が男に目覚める前から、そして愛に目覚めていく段階が、鶴橋さんがきめ細かい演出をしていらして、豊川さんと愛が深まっていくところがとてもよく出ていて、素晴らしいと思いました。
(M.NIBE)

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=44375