11月27日、『どろろ』ジャパン・プレミアが東京国際フォーラムにて行なわれ、出演者の妻夫木聡、柴咲コウ、瑛太、土屋アンナ、塩田明彦監督、アクション監督チン・シウトンが登壇した。

世界中で映像化されてきた手塚治虫作品の中で、四十八ヶ所に散らばった肉体を取り戻すという着想と乱世を舞台にした壮大なスケールゆえに映像化不可能と言われ続けてきた『どろろ』。制作費20億円をかけ、『ロード・オブ・ザ・リング』、『ラスト・サムライ』でも使われたニュージーランドで大規模なロケを行い、本物のアクションを追求するため『HERO』、『LOVERS』のアクション監督チン・シウトンに依頼!世界からの注目度も高く、すでに20カ国で公開が決定している。

開演時間になった途端、照明が落とされ約2分間のスライドショーが上映された。高まる期待の中、スクリーンの奥からゲストが現れると、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。
塩田明彦監督は「TBSの平野隆プロデューサーと企画をスタートさせて早3年以上の月日が流れました。その長い旅の過程ですてきな仲間たちと出会い、長年の憧れであったチン・シウトン監督まで参加してもらい、最高の作品が仕上がったと思います。錚々たるキャストの衣装合わせがいつになく面白く、楽しい製作現場を踏ませて頂いて感謝しています」と挨拶した。
この日のために来日を果たしたチン・シウトン監督、妻夫木聡と柴咲コウのアクションの感想について「二人とも一生懸命僕の難しいアクションにも答えて頂いて、すごい役者だと思いました。あるシーンのリハーサルで軽く飛んでくださいとお願いしたら、思い切ってやって頂いたので、その姿勢に感心しました。」と大絶賛した。
醍醐景光(中井貴一)が天下統一のため魔物たちから巨大な力を得ることと引き換えに、体の四十八ヶ所を奪われるという悲運を背負った主人公・百鬼丸を演じた妻夫木は、「初めて台本を読んだ時にすごい面白さを感じまして、早くやりたいなという気持ちでワクワクしていたんですけれども、それが今は懐かしいです。こうやって完成して皆さんにお見せできることはうれしく思います」と感無量の様子。柴咲については「コウちゃんとは「オレンジデイズ」以来なんですけど、本当に集中力がある人で脚本の段階で百鬼丸とどろろのイメージが僕の中で出来ていて、想像以上のものを現場でやって頂いて楽しかったです。」と話した。
戦乱のために最愛の両親を亡くし、その仇討ちに燃える天涯孤独な野盗・どろろを演じた柴咲は「一年くらい前に撮影に入りまして、ようやく漕ぎ着けたことはすごくうれしく思います」と挨拶、今までのイメージと違う役どころについて聞かれると、「どういったイメージを抱かれているのかあまりよく把握していないんですけど、そんなにいい印象ではないと思っているので、(会場笑)むしろ、どろろの破天荒なぶっきらぼうな、大胆な態度だったり、言動だったり行動には共感できる部分もたくさんありましたし、演じていてあまり違和感なく取り組めました。」と答えた。
天下統一を目指す醍醐景光の嫡男、多宝丸を演じた瑛太は「完成品を見たんですけど、二人が空飛んだり、ぐるぐる回ったり、本当にすごい映画です。今から見ていただく方は驚かれると思います。周りの方にもいい映画だと宣伝していってほしいと思います。」と挨拶。壮絶な殺陣シーンについては、「妻夫木くんと半年くらい前から殺陣を始めて、色々(役柄で)二人の複雑な関係性もあるんですけど、いいシーンができてよかったですね。」とコメント。
鯖目の奥方役の土屋アンナは「見て分かる通り、妖怪役がぴったり合うと思うんですけど、盛大なカッコいい映画に出られてうれしく思っています」と挨拶した。

エンディングで流れる主題歌はこの映画のために書き下ろされたMr.Childrenの「フェイク」、桜井和寿からのメッセージが読み上げられた。
「映画の主人公は本物を探す旅をしています。でも...本物ってなんだ?そんな疑問がこの曲を作るきっかけになっています。ありとあらゆるところに「本物ではない物」が存在して、それを受け入れながら僕らは暮らしています。憂うでもなく、批判するでも肯定するでもなく、たくさんの嘘と矛盾を抱えた出来損ないの一人として、そのことをただリアルに音にしたかった」

舞台挨拶の最後、塩田監督と主演の二人がメッセージを送った。
塩田監督:「山のようなメッセージを込めました。言葉にするよりも見ていただいて全員で込めた情熱が伝わればと思っています」
柴咲コウ:「自らが命を絶つ報道がされています。生きているので死の方を見てしまう。この映画生きるというテーマが盛り込まれています。そういった意味を感じていただければうれしいです」
妻夫木聡:「自分も生きるということについて考えさせられました。生きるってことを考えることによって、誰かに何かできるんじゃないかと思ったんですね。そういうことをちょっとでも感じて帰っていただけたらと思います」
(M.NIBE)