多くの人に感動を与えた映画『死ぬまでにしたい10のこと』から3年。イサベル・コイシェ監督とサラ・ポーリーが再びタッグを組み、新たな希望の物語を生み出した。

主人公は誰にも言えない秘密を抱えている女性・ハンナ(サラ・ポーリー)。ふとしたキッカケで油田の事故で負傷し、一時的に視力を失ったジョゼフ(ティム・ロビンス)を看護することになる。ちょっぴり風変わりな油田掘削所の人々と生活していくうちにハンナは少しずつ心を開いていく…。

今回心を閉ざしたハンナという難しい役柄を演じたサラ・ポーリーが来日し、都内で記者会見が行われた。『ドーン・オブ・ザ・デッド』以来2度目の来日となるサラが笑顔で本作について語ってくれた。
“ハンナという役をサラの為に書いた”と言うイサベル監督に対して、サラは「監督は独特な感性を持っているんです。彼女がキャスティングしたということは俳優を信用してくれているということなので自覚を持てるし、私たちに自由にやらせてくれるんです。これは悲劇の中に希望を見出せる映画です。」単なる夢物語ではなく、現実に起こりえるおとぎ話であることがイサベル監督作品の魅力だと語った。

ハンナが抱える秘密については「私が生きている世界の中では経験できないものです。ハンナという役を演じるにあたって、一瞬でも彼女の痛みを理解できるようにソーシャルワーカーや精神分析医といった多くの方々の力を借りました。でも私は彼女を理解できただとか思わないし、そんなフリをするつもりも全くありません。私なりに勉強し、考え、認識は変わりました。1日1日の幸せに感謝しながら生きています。」と言う。ハンナがジョゼフに自分の過去を語るラストシーンには苦労をしたそうだ。「あのラストシーンまでハンナは決して自分の過去について語ることはありません。あれほど恐ろしい体験をどうやって語ろうか、監督と一緒に悩みました。何度も何度も繰り返し考えていました。」と明かしてくれた。

「私の生活はカナダのトロントにあって、そこにあるコミュニティは独特で私にとって価値のあるものなんです。だから多くのカナダ人俳優のようにハリウッドに渡ってしまおうなんて思わないし、インディーズ映画の製作にも携わっていきたいんです。」と話すサラは1999年から監督としての活動も始めている。
「人間はどれほど叩きのめされても、再び人を愛せるくらいに立ち直れるんです。想像できないほどの力を持っているんです。世界中で悲劇は起きますが、そんな中でも希望を持つことをテーマにしています。『あなたになら言える秘密のこと』はそんな映画です。」と語った力強い笑顔が印象的な会見だった。

(umemoto)