毎回プログラミングにこだわり、作家性豊かな作品を毎回発信している東京フィルメックスが11月17日に開幕し、オープニング・セレモニーが東京国際フォーラムにて行われた。

林加奈子ディレクターが開幕を宣言し、「どうぞ一本でも多くご覧ください」と今年のプログラムに自信を見せた。
続いて、審査委員長のキム・ドンホ氏、諏訪敦彦監督、映画編集者・大島ともよさん、映画評論家・クリス・フジワラさんの4名が勢ぞろいし、挨拶を行った。またオープニング上映作品『三峡好人』からはジャ・ジャンクー監督、主演女優のチャオ・タオがセレモニーに華を添えた。

今年のヴェネチア映画祭でサプライズ・フィルムとして上映され金獅子賞を受賞した『三峡好人』。三峡ダム建設の進む古都・奉節を舞台に2人の男女のストーリーが進んでいく。揚子江の雄大な自然と対照的に巨大な建造物が次々と壊されていく様は、急速な経済成長に沸く中国のもうひとつの側面であり、その瞬間でしか捉えられない貴重な映像であり、その場の空気感や蒸し暑さなどが見事に映像に現れている。
初めはドキュメンタリー映画として出発した作品だが、10日間撮影しているうちにフィクション映画も撮影したくなり、3日間で脚本を書き上げ、2作品を完成させたというジャ・ジャンクー監督。Q&Aでは劇中のユニークなシーンの解説や、撮影秘話など観客からの質問に熱心に答えていた。

『三峡好人』は12月12日より中国で公開、日本ではビターズ・エンドによる配給が決まっており来年公開予定!
(M.NIBE)