本日恵比寿ガーデンシネマにおいて『アジアンタムブルー』の初日舞台挨拶が行われた!舞台挨拶には主演の多方面で活躍する阿部寛、同世代の男女から圧倒的な支持を得、今最も注目を集める松下奈緒とテレビドラマにおいて活躍する監督の藤田明二が登場した!

物語は、雑誌編集者の隆二(阿部寛)が雑誌のグラビア撮影において新鋭カメラマンの葉子(松下奈緒)と出会うことから始まる。アジアンタムブルーを愛する葉子は通り雨でできた水溜りで隆二を被写体に写真をとる。その写真の透明感と葉子自身の不思議な透明感に隆二は癒されていく。そして二人は分かれるが、隆二は偶然立ち寄ったコンビニで葉子と再会する。二人は惹かれあい同棲を始める。二人の生活は幸せに続くと思われたが、自分の心の内を明かさない隆二に失望し葉子はアパートを出る。しかし、友人の言葉によって葉子を愛していることをはっきりと自覚した隆二は葉子に会い、想いを伝える。再び同棲をはじめ、互いに愛を奉仕しあい変わり始めていく二人。そんな幸せな生活は永遠に続くかと思われた矢先、葉子が倒れる。診断は末期癌、それを知らされた隆二は葉子にプロポーズする。残り一ヶ月という命を彼女は静かに、ゆっくりと生きていきたいと言う彼女のために隆二は二人でニースに行くことを決意する。ニースの美しい景色の中で二人は最後の時間を共に過ごす…。 

そもそも題名であり葉子が愛する、「アジアンタムブルー」とはどういったものなのか。「アジアンタム」とはシダ科の観葉植物であり、涼しげにハート型の葉を揺らすその姿は若い女性に人気を得ている。だが、そのように愛らしい姿で飄々としたものには当然のように陰がつきまとう。この植物もまた一度枯れ始めると手の施しようが無く、儚い命を懸命に生きる。そしてこのように枯れ始めた状態を「アジアンタムブルー」と呼ぶのだが、ごく稀にこういった状態を抜け出し再び青々とした葉を茂らせることがあるという。
このアジアンタムブルーという植物が葉子に重ね合わされている。

舞台挨拶において「ロケ地はどのように選びましたか?」との質問に監督は「舞台となったのはニースから程近いヴィルフランシュ・シュル・メールという小さな港町です。ちいさな入江があるのはここぐらいで葉子のイメージにもぴったり合っていたのでここにしました。」と答えた。
また初めての舞台挨拶だという松下は「葉子を演じる上でどういったことを意識されましたか?」との質問に「愛情を持って演じました。特に隆二と出会う前後での変化をつけるということは意識しました。愛することと愛されることがつり合った時に本当の幸せが訪れると思う。葉子のそういった心の変化を出せたら、と思いました」。
阿部は初めてのフランスの印象を「人が冷たいのかなー、と思っていましたが全然そんなことなく皆さん優しくて、いい雰囲気でした。美しい場所で本当に楽しかった」と述べた。最後に観客から感想がもたらされ「松下さんの美しさとニースの美しさが絶妙に溶け合っていました」や、「阿部さんの男の色気に美学を感じました」「坂を登る阿部さんがキリストに見えました(笑)」など、熱い感想が読まれた。

最後に監督から「皆さんこの映画を観た後は口コミで友人なんかに勧めてください(笑)。電車の中でも『あの映画良かった』とかぜひとも話してください(笑)」との言葉が出た。

あまりにも繊細な映像と物語は人々の涙腺をほのかに緩ませる。ちょっと人生に疲れた方はぜひともこの映画を観て癒されてはどうだろう。もちろん観終わった後は恋人や友人にぜひとも御紹介を!

(oki)