11月16日、『硫黄島からの手紙』の記者会見が都内にて行われ、クリント・イーストウッド監督、日本人キャストの渡辺謙、二宮和也、伊原剛志、加瀬亮ほかが登壇した。

クリント・イーストウッド監督は、今日聞いたばかりのうれしいニュースとして、アメリカ公開が予定から2ヶ月早い12月20日に繰り上げられたことを発表!『父親たちの星条旗』公開との間隔が短くなったことで、「話題が新鮮なうちに見て頂くのは自然なこと、賞は他の人が決めることなんで、運命に任せたい」とコメントした。

イーストウッド監督は、日本人キャストの印象について「日本人キャストは素晴らしいグループでした。英語圏でなく文化も違い、新しい体験で未知の部分がありました。初めての方がほとんどでしたが、彼らとの共同作業が楽しかったので、明日からでも次の映画にスタートしたい」と賞賛した。また、作品を作る上でのポイントとして、「大事な歴史の一部を正確に描くことで重要なのは正直さ、日本人キャストは正直で素直な演技をしてくれた。硫黄島で日本人2万1千人が亡くなった。土地柄、飢えや水不足、病気も多かった。戦争の空しさ、人生を犠牲にしていった人を忘れてはいけない」と話した。

5日間で終わる予定の硫黄島戦の指揮官・栗林中将を演じた渡辺謙は、「この映画に関わるときから日本人として、俳優として重い責務を背負わされたと感じ、それを全うしました。この映画ができあがり、たくさんの人と共有できます。この映画と出会えたことを誇りにして、お届けできます」と胸を張った。
西郷を演じた二宮和也は、「気にしないようにしようと思ったんですが、あそこもない、ここもない、結構ねぇ。すごくいい思い出になりました。」とコメントし、緊張感漂う会場を一気に和ませた。
オリンピックの馬術金メダリスト、バロン西を演じた伊原剛志は、「映画を見た後、言葉にならなかった。『父親たちの星条旗』で「本当の戦いを体験している人間は真実を語らない」というセリフがありますが、映画を見て世界を垣間見たから、言葉にならなかった。撮影中は必死に役を演じることに集中していましたが、公開前になってすごいプロジェクトに参加したことを実感しています。」
元憲兵隊のエリート士官・清水を演じた加瀬亮は、「映画を見ている間に思い出したのは、アメリカのスタッフとご飯を食べたり、笑いあったり、アメリカと日本の人が協力して作った事実に意味があると思いました。」

俳優の気持ちが分かるイーストウッド監督の仕事は創造的で刺激的だったという出演者たち。渡辺謙は「毎朝ノートをクリントに渡し、一緒に考えていき、衣装、小道具のアイディアを受け止めてくれた。」と話し、二宮は「わがままに遣らせて頂きました。台本に書いていないことを急にやりたくなって、「いいよ」とクリントは味方になってくれました。」
また、東京国際映画祭で嵐のコンサートにイーストウッド監督を誘う話に進展はあるか聞かれた二宮は、「時期が合えば来るかどうかは別にして誘いますよ。」と答え、イーストウッド監督も「行って歌いたいと思う」と笑顔で答えた。

会見の最後は渡辺謙がメッセージを贈り、締めくくった。「僕たちが忘れてはいけない、捨ててはいけない歴史が刻まれています。一人でも多くの方がご覧になって、必死な状況をスクリーンで体験して頂きたいと思います。これから世界に届けていきたいと思っています。」
(M.NIBE)