11月7日、東京日仏学院にて『恋人たちの失われた革命』先行上映が開催され、上映後にフィリップ・ガレル監督、俳優の西島秀俊さん、フィリップ・アズーリをゲストに迎えてトークショーが行われた。

多くの映画ファン、映画人たちが、「自分たちの生きている時代で最も重要な映画作家の一人」と敬愛するフィリップ・ガレル監督の最新作『恋人たちの失われた革命』が2007年1月2日から東京都写真美術館ホールにて公開される。それを記念し東京日仏学院では、「リベラシオン」紙の映画記者フィリップ・アズーリ企画による特集プログラム『フィリップ・ガレル、現代映画の秘密の子供』(2006年11月4日〜2006年12月24日)が組まれている。ジャン=リュック・ゴダールの再来と呼ばれ、めったに観客の前に姿を現すことのないガレル監督の登場に観客たちが沸いた。

忙しい撮影の合間をぬって訪れた西島秀俊さん自身もガレル監督ファンの一人。映画を見た感想について「映画は見ることで完成すると言われますが、そういうレベルではなく、直接自分の人生に関与していると感じます。1968年5月の衝突に自分が直接関わっているようでした。」と述べた。
1968年に撮影し、火事で消失したニュースフィルムの構造に監督自身の記憶を加え再現した5月革命の映像、冒頭45分の存在感は、同じテーマを扱った他のフィルムとは格段の差があると言えるだろう。

「演出の4/5は演技指導である」と話すガレル監督は演劇学校で俳優の演技指導も行っている。主演・フランソワを演じた息子のルイ・ガレル、リリー役のクロティルド・エスムを含む本作品のキャストに彼の生徒たちの多くを起用している。その他のキャストでは、監督の家族が共演にも注目したいところ、フランソワの祖父を、実の父でありルイの祖父であるモーリス・ガレル、フランソワの母役をルイの母であるブリジッド・シイが演じている。家族の食卓のシーンはドキュメンタリー的に撮影したのだという。

『恋人たちの失われた革命』の製作から、映画芸術、演出論までフィリップ・ガレル監督の興味深い話は尽きることなく続いた。
(M.NIBE)