東北の小さな駅の待合室に置かれた「命のノート」
それに返事を書き続けるひとりの女性——

一冊のノートを通じて1000人以上もの見知らぬ旅人たちに返事を書き、生きていくことの素晴らしさを伝えている実在の女性をモデルに描かれた映画『待合室』。この初日舞台挨拶が、11月4日ユーロスペースで行われた。

撮影前に、モデルとなった“おばちゃん”に実際に会いに行ったという富司純子。「笑顔がとても可愛らしい素敵な人で、実際のノートも見せてもらって、この役をやりたいと思いました。ゆったりとした映画なので、映画を観てゆったりとした時間を楽しんでもらいたいです。」また、娘である寺島しのぶとの共演については「彼女は忙しいので、引き受けるとは思っていませんでしたが、出演すると聞いてうまくいきそうだなと思いました。」
利重剛は富司との共演について「とても光栄でした。スクリーンで、富司さんと一緒のシーンをみて頬が緩みました」と、子供の頃から観てきた大女優と共演した喜びを語った。
素のままの自分を出せたという楯真由子は、富司演じる“おばちゃん”とぶつかり合うシーンについて「監督に本気でやれと言われたので、“おばちゃんめ!”という思って本気でやりました。でも本気になりすぎて、台本と違うセリフになってしまいました。(笑)」。
板倉監督は、脚本で良いアイデアが浮かばず、手直しをできなかったシーンがあったという。「その場面を富司さんに演じてもらったところ、見事に演技でそのシーンをカバーしてくれていてゾッとしました」と、大女優の実力を実感したエピソードを語った。
(t.suzuki)