フランス・パリ13区のアマチュア合唱団を追ったドキュメンタリー映画『合唱ができるまで』の公開を記念し、映画に出演している合唱指揮者のクレール・マルシャンをゲストに迎え、広尾ジュニア合唱クラブによるチャリティーミニコンサートとトークショーが渋谷・東京山手教会にて行われた。
映画同様、クレール・マルシャンによるユニークな合唱指導も行われた。彼女が「子供たちには音楽を体に感じて欲しい」と語るように「フォークの先のチーズをぐっと引き伸ばすように」など、フランス的な表現と手振り身振りを交えての発声練習は、観客の視線を釘付けにし、子供たちの伸びやかで美しい歌声は教会全体を包み込んだ。

クレール・マルシャンは音楽ジャーナリストの小澤幹雄氏(小澤征爾さん実兄)と合唱にかける熱い思いを語った。日本の子どもたちについて「ラテン語、ドイツ語は難しかったでしょうが、快く受け入れてもらい、とても生き生きと楽しそうに歌っていました。」
合唱指揮者になったいきさつについて「全くの偶然なんです。私は15歳の時、最初はクラシックギターを始めました。音楽大学時代に集団で音楽活動をすることになり、気が進まない中で合唱に取り組みました。その時、一目惚れのような衝撃を受けました。合唱について一年勉強し、子供たちの指揮者が足りないということで合唱指揮者として白羽の矢が立ったのです。」と語った。彼女にとってまさに天職である合唱指揮者について「私の仕事は情熱なしではできません。息をする空気のような存在で、そういう職業につくことができて幸せです。」と笑顔を見せた。

演奏した曲目「レジーナ・チェリ(天国の元后よ)」の作曲者ジャン・ラングレは目が見えなかったということもあり、本コンサートでのチャリティ募金は、(社)東京都盲人福祉教会に寄贈し、渋谷区の会員の方、音楽振興のために活用される予定です。
(M.NIBE)