1968年春の青森県十和田、三沢を舞台に、高校を卒業し就職や進学という旅立ちを目前にした若者たちの、長く、目まぐるしく、そして一生忘れられなくなる24時間を描いた青春映画『アオグラ』がテアトル新宿でレイトショー初日を迎え、キャスト、監督による舞台挨拶が行われた。

撮影は全編青森ロケで行われた。出演者からは8人部屋での合宿生活をしながら培われた結束と仲の良さが伝わってきた。撮影がない日には七戸町フィルムコミッションの協力の下、自転車でふきのとうを取りに行ったり、大間産のマグロを味わったり、コンビニまで30分かけて出かけたりしていたという。

演じてみて1968年の印象を聞かれた主役の沢木圭太を演じた内田朝陽は、「ぼくらの父親と母親の世代がその時代を過ごした世代なんですね。父と母に何気なく雑談の中で聞いてみました。印象的には、まだないものがたくさんあって、若い人間が持っているパワーを上から押さえつけるようなものがあったんじゃないかな、それが時には行き場をなくしてどうしていいか分からない時代で、どこが高度成長の名残が残っていて。そういう若者のパワー、若者らしい不器用なもの、今の若者のように目的がはっきりしていない子どもかもしれないかもしれないけど、活気がある感じは出したいなというのはありました。」と語った。
ヒロイン・二瓶みどりを演じた阪田瑞穂は、「参考までにその時代の音楽を頂いたのですが、歌詞がすごくストレートで気持ちがストレートに伝わってくるような時代だったんだなと思いました。」

特撮やセットなしで行われた撮影の苦労話を聞かれた小林要監督は、「ロケハンで七戸町に行って、歴史ある街並みがそのままだったので、僕自身は小学6年生で記憶の中にかすかにあるものが街に中全て残っていたので、あとは僕は楽しんでいました。」と話した。

映画の見どころについて、沢木の友人、小比類巻を演じた徳山秀典は、「今日は残念ながら来られなかったベラマッチャ役の坂本真が凄まじいです。全て持っていかれました。流行語大賞はきっと「待ってたのさ」というセリフです。」そして、北川景治役を演じた荒川優は、「同じ部屋で8人生活してその仲良しさがバンバン出ていると思います、懐かしい昔の音楽が流れます。皆さん、青森の心地よい空気に浸って下さい!」と出演者たちの気持ちを全て代弁した。
最後に小林監督からメッセージが贈られた。「「僕はこれからどうしたらいいんだ」っていう風に思っている今の若者たちと、「ずっと昔オレもそうだったなあ」っていう昔の若者たちに対する応援の映画になっていればいいなと思います。じっくり楽しんでください!」

駆けつけた七戸フィルムコミッションからは、初日に訪れた観客150名に七戸町観光のパンフレットと銘菓が配布された。まだなお残されている素晴らしい自然と、昔の情緒が溢れる街並みを、この映画を通じて感じ、そして実際に訪れてみてはいかがでしょうか?
(M.NIBE)