10月27日、東京国際映画祭コンペティション部門作品、フランス発スパイアクションコメディ『OSS117 カイロ、スパイの巣窟』の上映とティーチインが行われ、ミシェル・ハザナヴィシウス監督、女優オーレ・アティカ、作曲者ルドヴィック・ブルスが渋谷Bunkamuraオーチャードホールに駆けつけた。

舞台は1955年、スエズ運河の権益をめぐり各国のスパイが暗躍するカイロで消息を絶った親友ジャックの替わりにフランス代表として派遣されたOSS117ことユベール・ボニス・ラ・バス(ジャン・デュジャルダン)。イスラム信仰、文化に無知で横柄なOSSが、あちこちでひんしゅくを買いながらもさまざまな危機に直面していく姿を皮肉とユーモアたっぷりに描いている。

原作は1950年〜1960年代にかけ何度も映画化されたジャン・ブルース原作のスパイアクション。なぜ今この時代に1950年代のスパイ「OSS117」を選んだのか?ミシェル・ハザナヴィシウス監督は語る。「1950年代当時、フランスでは、人種差別、女性蔑視、ホモを嫌う風潮がありました。距離感を与えるためにこの時代にしたのです。今日だったら(OSS117)は相当嫌な奴です。」
主演のジャン・デュジャルダンは現在フランスで大人気の俳優のひとりであり、彼の出演作は常に大ヒットを飛ばしている。「今作品はジャン・デュジャルダンが主役であることを前提にシナリオを書かれました。衣装や髪型は初期007のジェームズ・ボンドを参考にしています。参考のためにショーン・コネリーの写真を撮影現場に貼っていました。また吹き替えするような声にも挑戦してもらいました。OSS117と実生活のジャン・デュジャルダンとは全然似ていません。」

エジプトの王女アル・タルクを演じたオーレ・アティカはセクシーな衣装でOSS117とのラブシーンや派手なアクションシーンを披露している。「最後のアクションシーンは振り付けが決まっていてスタントマンと一緒に3、4日間練習しました。モロッコの港での撮影で、私は無傷でしたが、スタントマンの俳優が頭を切って、針で縫うほどのケガをしていました。」

どこか懐かしさと新しさが入り混じった劇中音楽も印象的だ。映画と映画音楽との関係について、作曲者ルドヴィック・ブルスは、「衣装と同じくピッタリ合った音楽、ドラマチックでありながら映像より音楽が目立ってしまってはいけないことに気を配りました」と語った。

2008年には『OSS117』第二弾の製作を控えている監督が最後にメッセージを贈った。「現在シナリオライターが書いています。未定ですが、やる気満々です。今度は全く新しい冒険になると思います!」
(M.NIBE)